まるで手作りに近い感覚のフード工場
自然の形のまま加工するというのは、どういうことでしょう?
「ジロ吉ごはん」がつくられている現場を見せていただくことにしました。それは大きな工場の最上階にあります。ここからは蕩々と流れる隅田川の絶景が目の前。爽やかな川風が吹き渡っています。
室内では数人の社員たちが4つの機械を使って、きょう出荷分の『ジロ吉ごはん』をつくられていました。その行程は簡単に言うと、材料をミキサーで混ぜて練る → 押し出し機にかけて絞り出し、ペレット状にする → 回転板でコロコロ転がして丸くし形を整える → 乾燥、というもの。この前段階として、材料のひとつである玄米と野菜を工場内の1階にあるライスボイラーという大きなお釜で炊くという工程が入るそうです。
4つの機械はベルトコンベヤーで繋がっているわけではなく、機械から機械へは人の手によって運ばれていました。また、押し出し機もほんとに手作り感覚のものだから、出てきたフードは丸まっていなかったり、2個がくっついていたりしてバラつきがある。だけどそれがかえって、人の手でつくられているという感じがしていい感じ!
「最初は玄米とニンジンと小麦胚芽入りのフスマ、鳥のレバーなどを炊き込みご飯のように炊いていたんですけど、それだと便に玄米の粒がそのまま混じることがあったので、これはちょっと消化が悪いのかなと。それで、玄米だけは単独で炊いて、ちょっともったいないですけど、そのまますぐ乾燥機に入れて乾燥させて粉末にしてから使うことにしました。他の玄米以外の材料は別に炊いてます。手間は一工程増えてしまいましたが、このやり方にしたら消化はグンとよくなりましたね」(徳岡さん)
「最後はマルメライザーという機械を通して丸くしたものを固定式の乾燥機に入れて乾燥させますが、それにはたっぷり時間をかけています。温度は今、100度ぐらいにしてるんですけど、それぐらいでは栄養素はそれほど落ちません」(徳岡さん) 気になる栄養バランスですが、「ジロ吉ごはん」はいちおうAAFCOの犬の栄養要求量をクリアし、総合栄養食として売り出されています。
「ビーフエキスと骨の部分を合わせて、肉も骨もここで一緒の形にします。そうすると大腿骨をそのまま食べているのと同じことになる。良いと言われているのはその大腿骨の中の骨髄とかなんですけど、このやり方だとタンパク質とか、ムコ多糖類などがそのまま残るんですよ。うちはこの蒸製骨粉をつくり続けてきた会社ですから、それがすごく身体に良いことを実感していて、ペットフードにも応用したわけです」(徳岡さん)
徳岡商会では、パンビー製薬という会社の骨を元にしたサプリメントの原材料を提供してきた経緯から、このやり方には自信を持っておられるそうです。