『狩人と犬,最後の旅』に学ぶ人と動物の絆(2ページ目)

ニコラス監督に聞きました！

　自分もまた犬ぞり冒険旅行の実践者
　であるニコラス監督 そんなニコラス監督にインタビューをさせていただく機会がありましたので、わたしも犬ガイドとして映画の犬たちについて、お話を伺ってみました。

----監督と犬との最初の出会いについて、思い出に残るようなエピソードがありましたら教えてください。

監督：じつは最初の犬という思い出はないんです。私が生まれたのは田舎の森の中の一軒家でしたから、犬は私が生まれたときにはすでに側にいました。でも私にとっての最初のそり犬については、とてもよく覚えています。私は90年～91年にシベリアを単独で横断したんですけど、そのときバイカル湖の狩人からもらった犬で、ウッチャムという名前のライカ犬でした。その犬と１年ほどシベリアを旅して、その後も家に連れ帰って一緒に暮らしました。05年～06年にかけてふたたびシベリアを犬ぞりで横断したときの犬たちは、このウッチャムの孫にあたるわけです。

----映画に出演した犬は監督の犬たちなんですか？

監督：そうです。じつは予想外のことですが、リーダー犬のウォークとアパッシュは本当に恋に陥って、かれらがあまりにも仲良くしているんで、これはそのままフィルムに収めようということになり、編集段階でもそういうふうに残したわけです。２頭の間には、本当にベビーが生まれましたよ。

----あんな厳しい大自然の中では、獣医さんもいないんじゃないかと思うんですが、フィラリアの予防とかワクチン接種とかはどうされてるんですか？

監督：極北の地という環境下では、そういう菌とかウイルスが繁殖できませんので、都会の犬がかかるような病気にはほとんどかかることはありません。なので注射もしていないということです。

----犬たちはどんな食べ物を食べてるんですか？

監督：犬たちはみんな、トラッパーたちが狩りで得たお肉とか魚というものを食べています。サーモンとか魚の方が多いでしょうか。夏になると、川に車輪のようなトラップを仕掛けて捕まえたサーモンを乾燥させ、オールシーズン食べられるようにしています。
　それからそり犬を率いて私がシベリアとかを横断するときには、長期の保存食を必要としますが、それは水分を全部蒸発させて乾燥させた魚や肉を持っていきます。犬ぞりの旅での一番の敵は寒さよりも重さなんですね。できるだけ積み荷を軽くして犬たちの負担にならないようにしなければ体力がもちませんから。なので後で水で戻すようなタイプの食べ物を常に持参することにしています。

こんな奇跡的とも思える映像が随所に…スタッフの根性に脱帽です

過酷な大自然の中だからこそのパートナーシップ

穏やかだけど情熱を秘めた人でした

『狩人と犬』は犬映画ではありませんし、ただ犬が好きだからという理由でご覧になると、その暮らしの過酷さ---たとえば氷点下20度30度という環境の屋外で平気で犬を飼うなど---に、ちょっぴり驚いてしまうかもしれません。
氷の湖面や雪山の道なき道を行く犬ぞりのすごい労働力に対しても、これって動物愛護の観点から見て大丈夫なの？なんて思ってしまうかも…。だけど、犬たちはノーマンを信じ、与えられた役目をひたすら果たしていく。それは言葉を失うほど感動的なものです。
そしてけっして忘れてはならないのは、過酷だけれどもこんなに素晴らしい大自然を、ノーマンや犬たちから奪ってしまってはいけないんだというニコラス監督の声なきメッセージですよね！

8月12日より、テアトルタイムズスクエア、
銀座テアトルシネマほか全国順次ロードショー

■『狩人と犬,最後の旅』公式サイト↓
　　http://www.kariudo.jp/
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