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早稲田大学と大阪大学に見る2つの方向性(2ページ目)

専門学校化しているといわれる私立大学。実利とはちょっと離れたところに身を置き、文理融合の流れを推進する国立大学。その違いは具体的にどこにあり、いったい何を目指そうとしているのでしょうか?

吉田 敦彦

執筆者:吉田 敦彦

学習・受験ガイド

大阪大学人間学部とは?

人間学部系で代表的なものが、大阪大学人間科学部。その創設の背景は、「本学部創設の発端をなすのは、昭和40(1965)年前後における文学部内の改組拡充の動きである。他大学と比べての大阪大学の特色の一つに、独立した教育学部が存在せず、教育学関係の5講座が文学部の中に組みこまれている、という事情があり、教育学科拡充の要求が出されていた」とあります。

もともと、人間学部は本来哲学科の内部にあった「心理学講座」と「社会学講座」を融合する形で生まれた学部で、その歴史は意外と古く1972年に開設。大学紛争の嵐が吹き荒れた時期に個別の学問に埋没せず、学問を一つの統一した見方から統合して学問しようとする動きの中から生まれた学部です。

基本的には、「心理」「社会」「教育」の三分野を統合した構想から生まれた学部で、そしてその目的は文理融合であると言われている。文理融合は学問の一つの理想の具現化であり、一つの専門分野だけにとどまらず総合的な学問的な視点を養える新しい学部として再評価してもいいかと思います。

一般的にはなかなか理解しがたい名称と考えを持つ学部であるが、その目的は崇高で深いと個人的には考えています。大学内部にも、現在の大学研究に横つながりがない反省があり、統合した一つの「人間」というテーマで個々の学問を統一するのが目的なのです。

心理学や哲学に興味を持つ人で純粋哲学にとどまらず、様々な角度から学問を深めたい学生にはぴったりの学部だと言えるでしょう。

実利を追う私立と、学問を追求する国立。今回はその一端をご紹介しましたが、どちらにしても「人間」を追究し、文理融合の流れを推進する人間科学部の創設は今後とどまりそうにありません。



秀才を求める東大と、天才を模索する京大
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