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東大受験、合格する生徒に共通すること

国内の大学受験においては昔も今も最高峰といえる東京大学。はたして東大に合格する生徒に共通することはあるのか? 東大に受かるためには何をしていたのでしょうか? その共通点を見出し、ご紹介していきます。

吉田 敦彦

執筆者:吉田 敦彦

学習・受験ガイド

東大に受かるために求められる資質と実力

<東大現役・浪人合格比率>
世間的な予想では、苦学し何浪もして東大に合格というイメージだが、事実はまったく逆(『代々木ゼミナール東大入試データ』より)
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東大受験に合格する生徒の共通点

東大は入試に関する情報を開示している数少ない大学です。その情報を見るだけでもいろいろなことがわかるので、まず最初にご紹介しましょう。

  • 現役と浪人の合格者の割合は?
世間的な予想では、「苦学し、何浪もして東大に合格」というイメージがありますが、事実はまったく逆です。

東大の全学部で、およそ65~70%の合格者を占めるのは現役の合格者であるということです。1浪でおよそ20%台の合格率で、2浪以上ではおおよそ2~3%台とかなり低迷しています。ここからはっきりわかることは、「東大には現役、少なくとも1浪で入らないと合格可能性が低下する」ということ。多浪しても合格する見込みが少ないわけです。

ちなみに出身地別に見ると、約60%は東京および関東圏の出身者が占めています。

  • 現役、もしくは1浪で東大に合格するための実力とは?
まず、センター試験をどの程度取る必要があるのかを見てみましょう。
<センター試験合格得点率>
センター試験では9割近くの得点率を求められる(『代々木ゼミナール東大入試データ』より)
センター試験では上表を見てもわかるように、全体的に見て90%近くを得点しなければなりません。

2次試験ではどうなっているでしょうか?
<2次試験合格得点率>
550点の内訳は110点がセンター試験分、440点が2次試験分となり、4倍も配点が異なっている。2次試験の大切さがここから見てとれる(『代々木ゼミナール東大入試データ』より)

この数値を見てわかるように、合否を大きく左右しているのは、550点中440点配分された2次試験の成績であることがわかります。

東大などの国公立大学の場合、2次試験の出来が合否を決めていて(*センター試験より配点が高いため)、約70%は得点しないといけないことがわかります。

しかし、センター試験での1次選抜(*一定の点数に見たいない者は2次試験を受けることができない)スレスレを狙う人が多いのですが、点数が110点に圧縮されるとはいえ、2次試験での得点の取り難さを考えればセンターもおろそかにはできません。1点にこだわる勉強が必要です。

東大に現役合格できる生徒とは?

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赤門を毎日通れるのは、いったいどんな生徒なのだろうか?
私が現場で今まで見てきた東大など一流国立大学に合格する生徒(現役)には、きわめて類似した特徴があります。

  • 友人が多い。人間力がある
学校の授業を大切にし、必ずしも塾、予備校には頻繁に通っていない。意外なことに、2年まではクラブ活動を熱心にしている生徒が多い。そのため友人が多い。言い換えると、人間関係を作る力(人間力)が際立っている。

  • 勉強と遊びのメリハリがある。集中力がある
決して「ガリ勉」タイプではなく、勉強と遊びのメリハリをちゃんとつけている。勉強はするが、遊ぶときは思いっきり遊ぶ。帰宅後の勉強時間は数時間で、授業中に勉強をしている。とにかく集中力がすばらしい。物事を始めて終えるまで一心不乱に打ち込める。幼児期に本を読了することの喜びを知り、長編小説も飽きずに読破できる。そのほかの学習においても、喜びの頂点を得られるものだと信じている。

  • 結果の熟成を待つことができる。忍耐力がある
問題の解答はすぐにわからなくても焦らないで、一時保留しておけばわかるようになるものだと考えている。加えて、親子の関係もうまくいっている場合が多いので、どんな問題も肯定的に捉えて乗り越える力がある。できない問題があっても、その問題点を分析し、対策を立てればできるようになることがわかっている。

東大に入るには、何をすればいい?

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大学受験はまさに、登山のようなものです。あせらずマイペースで進みましょう
  • 高校の授業を生かし、得意科目を作る
実際センター試験で必要とされる5教科7科目(文系の場合、地理歴史と公民から2教科と考えるので6教科7科目となる)を、高校3年生からまったくゼロからスタートするのは遅すぎ、かつ無謀です。当然ながら、高校2年生から目的を持って準備をしていく必要があります。

東大では難問・奇問の類は出題されないので、授業をしっかり生かした勉強が必要です。授業中に内職と称して、他の勉強をしているような生徒では合格は難しいでしょう。予備校で教えていてこう言うのは矛盾していますが、学校の勉強を完全に無視して、塾や予備校で合格を目指すのは本末転倒なのです。

ある程度のレベルの進学校に在籍し、学校の進度が東大・京大などに対応している学校であればやりやすいでしょう。高校1年生ぐらいのときは、得意科目を作るのもいいでしょう。英語や数学や理科などの科目で得意科目を持つことができれば、一つの科目を突き詰めたという自信が他の科目を征服する上でとても有効です。

  • バランス感覚を養う
実際、普通の公立高校から東大に入ることは不可能ではないですが、本人のやる気の継続が鍵になります。普通の公立高校の場合、周りに東大を受験する生徒が少ないと、やる気を維持するのが大変というのが正直な感想です。また、多い科目をいかにバランスよく勉強するかも大事です。失敗する生徒の大半は、得意科目ばかり勉強する「ばっかり勉強」をして、他に必要とされる科目を落とす傾向があります。

つまり、注意力をいかに分散できるかがポイントなのです。

「注意力の分散」というと、注意散漫のように誤解されるかもしれないですが、車の運転に似ていると言えます。前だけ見るのではなく、左右や後ろの状態も把握しながら運転するように、問題をヒラメキだけで解かず、俯瞰的に見て、論理的に考察できる力が必要です。単なるガリ勉では太刀打ちできないんですね。

できる問題とできない問題を見わける。できそうな問題は、問題文をしっかり読んで出題者の意図を読み取り、解答する。できない問題は捨てる。それくらいでないと合格点は取れないんです。

「出題者の意図を読み取る」ということは、コミュニケーションもうまくできなければなりません。そういう点では、人間関係の形成はとても大切でしょう。つまり、前で述べたように東大に合格できる生徒は「人間力」を持っていると言えます。

学校での勉強や活動を大切にし、人間関係を構築できるような生徒こそが、人間力を持っていると言えるでしょう。知識を単に知っているだけでは解けない問題が用意されているのです。だからこそ、東大で出た問題が他の大学で形を変え、数年後にまた出題されたりもするのです。


東大の現役合格者は、どんな家庭の生徒が多いのか?

家庭環境については、東京大学がキャンパスライフの詳細なアンケートをとっており、公表されています。下表から見ると、主たる家計支持者の年収分布は約20年前と比較してかなり変わっているようです。

<合格者家庭年収比率>
20年前と異なり、富裕層が明らかに増えている(『東京大学学生生活実態調査』より)

この数値を見てわかるように、確実に富裕層が増加しています。それだけ教育にはお金がかかることがある程度読み取れます。しかし、また依然として家庭環境に関わらず、努力して合格する生徒も多いのは事実です。

現場から見て言えることは、家庭環境に関わらず、「親が子供の教育を他人任せにせず、子供と協力して東大の入試を乗り越えて行くこと」がとても大切だと思います。

できる子供の親は相対的に、教育にうるさいものです。「孟母三遷の教え」という故事に代表されるように、子供にとってさらに能力を発揮しやすい環境を作ってあげることが必要です。その一番大切なものは、親と子の信頼関係ではないででしょうか? 親に愛されていると信じているからこそ、子供は親の叱咤にも耐えられるのです。

数字は数字。チャンスは誰にでもある

今回データを多用しましたが、数字はあくまでも数字であり、別に合格の保証でもありません。結局、とても簡単なことで「やる気があるかどうか」が一番問われます。大きな目標に向かい一歩一歩、歩いていけばどんな高い山でも登れるように、東大の合格も決して不可能ではないはずです。

ここまで読んでだら、「高校3年から勉強しても東大合格はほぼ不可能?」と思ってしまうかもしれません。しかし、塾や予備校に別にいかなくても学校の勉強を重視してきた生徒なら、東大合格のチャンスはあります。

予備校でよく言います、「やらないで後悔するより、やって後悔するほうがいい」と。一度しかない人生に日本で、いや世界でも最高の部類に入る大学で過ごしてみようじゃないですか。そう思えたなら、その生徒にもチャンスはあるのです。なぜなら、チャンスは待つものではなく作るものだからです。

ちなみに2007年度から、京都大学、名古屋大学、東北大学などで後期入試が廃止されます。定員を減らすのではなく、前期へその分の定員を振り分けていくようです。東大も2008年度から後期の定員を3分の1減らし、前期にシフトすることになっています。東大も京大も前期試験で約90%の生徒を現状でも入学させているので、当然の流れなのかもしれません。今後さらに早期の段階で優秀な生徒を取っていこうという傾向は、上位大学間で強まるでしょう。



<関連記事>
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<関連リンク>
家庭の状況(東京大学学内広報)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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