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東京名物・酉の市 3回開催される年は火事が多い!?(2ページ目)

東京名物、酉の市の季節がやってまいりました。今年は二の酉までなので、火事の心配はない? でもなぜ、三の酉まである年は火事が多いと言うのでしょう。そして、そもそも酉の市の起源は?

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

 

「春を待つ 事のはじめや 酉の市」

花園神社の酉の市の屋台。11月も半ばを過ぎると、だんだん熱燗が恋しくなってくる
これは、松尾芭蕉の弟子の宝井其角が詠んだ俳句です。江戸に冬の到来を告げる酉の市は、まもなくやって来る歳末やお正月の先ぶれ。お正月が過ぎれば、あとは春が来るのを楽しみに、毎日を過ごそう。そういう江戸の人々の心を表したもののようです。11月が来たら、もう春のことを考える。江戸っ子たちは、やっぱり、短気だったんですね。

わたしも東京に住んで長いので、なんらかの形で、毎年どこかの酉の市に出かけています。
昔は確かに、三の酉の夜ともなると、コートなしでは外を歩けないくらい寒かったものですが、ここ何年かは、そう冷え込まず、冬の到来という感じがしなくなりました。地球温暖化の影響をひしひしと感じる今日この頃でございます。
 
たくさんの熊手を見ると、今年もそろそろ終わりに近づいたかなと感じます

前のページにも書いたように、酉の市の起源には、神道由来のものと仏教由来のものの二つの説があるのですが、歴史的に見れば、酉の市は、「歳の市」から枝分かれしたものだそうです。歳の市とは、江戸の町の神社仏閣の境内で、12月の半ばごろから、正月用品や祝儀物を売る市のこと。その中で今も残るのが、浅草寺の羽子板市や、世田谷のボロ市です。
 

ボロ市では、何でも売っている

世田谷のボロ市は、400年以上続く、「歳の市」の代表例
最近、物忘れがひどく、すっかり失念しておりましたが、そういえば昔、12月15日に、そのボロ市にも行ったっけ。世田谷線の上町と世田谷駅の間で行われるこの市では、骨董品から神棚から代官餅と呼ばれる名物のお餅まで、ありとあらゆるものが売られていて、圧巻でした。

これは神社仏閣の境内ではなく、小田原城主北条氏政がこの地に楽市を開いたのが始まりで、世田谷を代表する伝統行事として、400年以上の歴史を持っています。当時は、周辺で作られる農作物や古着などが売られていたそうですが、今でも、フリーマーケット感覚の古着も売られており、文字通りの「ボロ市」だな~、と妙に感心した記憶が蘇ります。

●世田谷ボロ市に関する情報は、こちらをごらんください。
 
薬研堀のお不動さんでは、ホンモノの歳の市が楽しめる
神社仏閣の「歳の市」は、もともとは浅草が有名だったのですが、今は、薬研掘のお不動さんで、典型的な姿を見ることができます。薬研堀のお不動さんは、講談発祥の地でもあり、毎月、講談の会も開催されています。今は小さなお寺になってしまいましたが、江戸時代には大人気の寺で、現在の住職さんも、なかなか江戸っ子っぽい気さくな方。わたしのお勧めのお寺の一つです。


●薬研堀不動院の場所はこちらです。歳の市は、12月の28日前後。

●すっかり話がそれてしまいましたが、ともかく、酉の市の起源は「歳の市」にありということで、次のページで酉の市の熊手とお勧めの神社をご紹介しましょう。
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