寺・神社/東京の寺・神社

東京の神社仏閣謎巡り 冨岡八幡宮編(3ページ目)

下町と呼ばれる地域の中でも、もっともディープな雰囲気を残す深川。派手な神輿と祭で有名な冨岡八幡宮は、江戸時代は、相撲見物でも賑わったところです。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

深川には財力だけでなく知性ある偉人もいた

伊能忠敬像
全国測量ツアーに出かける瞬間の、伊能忠敬像。決然たる表情をごらんください
深川には、金と腕力だけでなく、知性と行動力を備えた大偉人も住んでいました。日本最初の全国地図を作った伊能忠敬です。伊能さんは、千葉の佐原出身で、醤油などを商って富を築いた方。家督を息子に譲って隠居してからは、深川に住み、趣味の天文学三昧。それが嵩じて、測量のための全国ツアーに出たのです。

この方は冨岡八幡宮によくお参りに来ていたので、境内には、今まさに、測量の旅に出かけるべく第一歩を踏み出す瞬間の伊能像もあります。そのころは、もう五十歳を過ぎておられたのですが、きりりとまなじりを上げたお顔には、イマドキのお兄ちゃんなどよりはるかに若々しい決意に満ちた表情が浮かんでおり、「がんばれイノー。中高年の星!」と、叫びたくなります。

歩くことの大切さを教えてくれた二人の偉人

歴史散歩マニアと松尾像
隅田川べりにある松尾芭蕉の像。等身大なので、歴史散歩マニアたちが、よく一緒に写真を撮っています
江戸の文化をリードした深川住民がもうひとり。それは、松尾芭蕉です。松尾さんは、三重県の伊賀上野に生まれ、江戸に出て、目白の江戸川橋付近で、水道工事関係のお仕事に就かれます。その後職業的な俳人となり、深川に庵を結びました。四十六歳の時に「おくのほそみちツアー」に出たのも、ここ深川からで、冨岡八幡宮からは少し離れていますが、隅田川べりには、出立の舟を待つ松尾芭蕉像もあります。

超個人的なお話で恐縮ではありますが、わたしは、このお二人を心の師と仰いでいます。というのは、わたしも、彼らと同じく、四十歳過ぎたころに、それまでやっていた仕事からいったん足を洗い、趣味の寺巡りをテーマとする全国ツアーを開始したからです。江戸の人々にとって、四十で隠居して、あとは趣味の世界で生きる、というのは、当たり前のことだったのです。

もちろん、お二人のように立派な功績を残す可能性は皆無ですが、わたしも、何とか神社仏閣巡りをネタに駄文を書いて暮らせるところまでたどり着くことができ、これも、冨岡八幡様のご利益と思っています。

門前仲町の路地裏
散歩の帰りは、門前仲町駅近くのこんな路地で、ちょっと一杯?
また、二人の偉人は、測量にせよ俳句にせよ、歩いて旅をしなければ日本の真実はわからない、という大切なことを教えてもくれました。神社仏閣周辺には、車や観光バスで巡っては見落としてしまう大発見が隠されていますので、わたしも、「歩ける範囲はできるだけ歩く」を、神社仏閣巡りをする際の大原則としています。おまけに歩くことは、心と体の健康に、もっとも効果のある、ただでできる運動です。皆さんも、何かテーマを見つけて、愛する日本を歩いてみませんか。

<DATA>
■冨岡八幡宮
・所在地:東京都江東区富岡1-20-3
・交通・アクセス:営団地下鉄東西線「門前仲町」駅より徒歩3分
・地図:Yahoo!地図情報
・TEL:03-3642-1315
・HP:冨岡八幡宮

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