エンバーミングの歴史
エンバーマー養成機関が設立されてから、日本人エンバーマーが増え、全国にエンバーミングができる施設が造られました。 |
現在のエンバーミングの手法が確立されたのは、17世紀~19世紀にかけて。血管に防腐剤を注入する技術が開発され、ホルマリンが発見されました。
エンバーミングが普及したのは南北戦争(1865年)。戦死者を故郷に遺体のまま移送する必要があったことから一般に広く知られるようになりました。現在のアメリカでは宗教的にダメなケースなどを除いて、90%以上のご遺体にエンバーミングが施されています。
日本でのエンバーミング
日本では、1974年に川崎医科大学で系統解剖のためのエンバーミング技術を導入されましたが、海外搬送を目的としたエンバーミングが主流で、一般的に行われることはほとんどありませんでした。1990年代後半になってから、アメリカへ渡ってライセンスを取得した日本人エンバーマーが帰国、日本人による日本人のためのエンバーミングを提案し、心のケアの必要性とともにエンバーミングの普及に努めます。2003年、東京・大阪にエンバーマー養成機関が設立され、日本人エンバーマーが少しずつ増え認知されるようになってきました。
エンバーミングの問題点
「ご遺体が美しくなって、腐敗や感染の心配もなし!」といいことづくめのようなエンバーミングですが、賛否両論あるのも事実。まず、エンバーミングをするにはそれなりに費用がかかります。別途で15万円~25万円ほど。これはエンバーミング会社に支払う費用のほか葬儀社が受け取る手数料も含まれています。葬儀は年々シンプルになっていく傾向がありますから、エンバーミングのようなオプションはどんどん売っていきたいというのが葬儀社の本音。エンバーミング施設を保有している葬儀社の場合はもっと営業色が強く、エンバーミング獲得数をノルマ化しているところもあります。このような商業主義で勧められているエンバーミングに疑問を投げかける人も多くなっています。
また、ご遺体を傷つけるという点で抵抗がある人も多いでしょう。処置のために首の血管を切って血液を出したり防腐剤を入れたり、お腹の中を開いて体液を出したりする作業に対して、すんなりと受け入れられる人は少ないかもしれませんね。
日本でエンバーミングが定着するか否かは別として、この「死化粧」というTVドラマはエンバーミングという言葉、エンバーマーという存在を広くアピールすることに一役買ったといえそうです。