葬儀をする人の約4割が互助会を利用
互助会に入会する際には、契約内容をきちんと把握しておくことが大切です。 |
そもそも互助会は、戦後の所得水準が低く物資が乏しい時代にできたシステム。冠婚葬祭という一時的な多額の出費に備えるために、衣装や祭壇等を共同でお金を出し合って利用しようとするという助け合いの精神、つまり「相互扶助」を目的として誕生したのです。
冠婚葬祭互助会は「割賦販売法」の対象業種であり、経済産業大臣の許可を受けなければ営業できません。許可されるためには資本金2000万円以上であること、健全な経営ができるための財務上の各種比率が定められた基準以上であること等厳しく規定されており、この審査をクリアしてはじめて互助会として認められるのです。
現在、冠婚葬祭互助会は全国で321社ありますが、そのうち268社(平成16年1月時点)が社団法人全日本冠婚葬祭互助協会に加盟しています。現在、葬儀をする人の約4割は互助会を利用していると言われています。
互助会にまつわる苦情・トラブル例
互助会に入会することは、生前に葬儀のことを考えるきっかけになりますので決して悪い制度ではありません。むしろ、事前に準備をすることで業者を選定し、費用を確認できる良いシステムのはず……なのに、苦情やトラブルが多いというイメージを持っている人も少なくなりません。例えば次のようなケースです。
●「強引な勧誘にうんざり……」
互助会の営業マンは基本給+歩合で働いている人が多く、会員を獲得しないと給料UPは望めません。そのために電話や手紙など、あらゆる方法で一人でも多くの人を勧誘しようと頑張っています。その手法やしつこさにうんざりする人が多いのです。
●「積み立てをしていれば葬儀費用が割安になると思ったのに、実際は費用のメリットがほとんどない!」
「積立額に応じて葬儀費用を割り引いてもらえるから、急な出費にも安心!」と思いきや、積立金は葬儀費用のほんの一部にしかならないことがほとんど。結果的に互助会を利用するよりも、他社を利用したほうが安くできるケースもあります。
互助会に入会する際には、「祭壇が半額になります」「棺や人件費も含まれます」などお得な割引制度の説明ばかりを誇張して、必要な追加費用についてはあまり触れられていなかったりします。実際に葬儀を施行する段階になってはじめて「料理や返礼品の費用は別途必要です」「テントが必要なので5万円追加」「ドライアイス1日分追加」……など、基本プランに含まれていない料理や返礼品、オプションに対して追加料金がかかることを説明され、「話が違う!」と憤慨する人も多いのです。
お葬式の費用の仕組みについては→こちら
葬儀のオプションについては→こちら
●「葬儀コースが決められている」
互助会会員向けの葬儀サービスはパッケージ化されているものが多く、それ以外のサービスは選択できなかったり、もしくは別途料金が必要になってきます。また、パッケージ化されたコースの中で使用しない商品やサービスに対しての費用は「役務放棄」という扱いになり、相当額は返金されません。
パッケージ化自体はわかりやすくて良いシステムですが、「それ以外の選択肢が限られている」ことに対する不満が苦情につながるのです。
●「解約になかなか応じてくれない」
昭和59年にカップ販売法改変によって、互助会との契約は自由に解約できるようになりました。しかし、国民生活センターには互助会の契約・解約に関する相談が2816件(2006年度)も寄せられています。解約時には2割前後の手数料が差し引かれるにもかかわらず、契約時に十分な説明がなかったために起こるトラブルは数知れず。また解約になかなか応じてくれなかったり、解約する場所を指定(遠方の本社など)されたり、解約までに至るステップにも問題が発生することもあります。解約手数料を支払ってでもそれ以上にリーズナブルな費用で葬儀ができる葬儀社がたくさんあることが知られてきましたので、最近はますます解約に拍車がかかっています。
●「互助会が倒産した!」
互助会は経済産業省の認定事業だから安心……というのは間違いです。互助会も倒産します。その場合、掛け金の半分は戻ってきません。互助会の中でも経営不振企業は次第に淘汰され、数年後には互助会系企業は現在の七割程度まで減ってしまうのではないかと分析する専門家もいます。
互助会のトラブルや苦情ばかりをご紹介してしまいましたが、上手に利用すればメリットもあります。次ページでご紹介します。