大阪の夏祭りの締めを飾る住吉大社「住吉祭」
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住吉大社の住吉造の本殿(国宝指定)です。住吉造は出雲大社の大社造、伊勢神宮の神明造と並んで我が国最古の神社建築様式のひとつとされています。 |
住吉大社(大阪市住吉区住吉2-9-89)は航海の神さまを奉る神社で、日本全国にある住吉神社の総本社です。その昔、難波宮や平城京、平安京から遣隋使や遣唐使が出るさいは、必ず住吉大社に立ち寄って航海の無事を祈願したとか。住吉大社の西側には大阪湾(住吉津・住之江)が眼前と広がっていて、ここはシルクロードの玄関口であり、日本最古の国際港でもありました。
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夏越祓神事から。手に榊を持って茅の輪をくぐる巫女です。 |
その住吉大社で毎年7月30日、31日、8月1日に行われるのが住吉祭で、愛染まつり、いくたま夏祭り、天神祭と続いた大阪の夏祭りの最後を飾るので「しめ(締め)の祭り」と言われることもあります。
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巫女のあとには女官、稚児、夏越女などが続きます。 |
祭りの見所としてはまず7月31日の午後5時ごろから行われる夏越祓神事。神官を先頭に夏越女や、稚児たちが茅の輪 (ちのわ) を3度くぐるというものですが、とくに夏越女の優雅で、美しい衣装は見物です。
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夏越女です。中世の上臈(身分の高い貴婦人)を模しています。その昔は住吉新地の芸妓さんが奉仕していました。 |
一団のあとには一般参詣者も参加して、茅の輪くぐりが出来ます。そのさいは「住吉の夏越(なごし)の祓いする人は千年 (ちとせ) の齢(よわい)延ぶといふなり」という和歌を口ずさみましょう。住吉大社は航海の神さまですが、お祓いの神さま、和歌の神さまでもあって、厄除けになります。
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住吉踊です。傘踊りの一種ですが、中世・近世と住吉踊の一団は諸国を漫遊して、江戸芸かっぽれなど、さまざまな芸能のルーツになりました。 |
このあとには第一本宮で祭典が行なわれて、巫女による熊野舞や、住吉踊などが奉納披露されます。とくに住吉踊は神功皇后(第14代仲哀天皇の妃、第15代応神天皇の母)が三韓征伐から帰還したおりに、堺・七道の民が歓待したさいの踊りとか。その起源はすこぶる古く、単純素朴ですが、とても可愛らしい踊りです。
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「大和川のお渡り」の光景です。大阪の夏の風物詩としてぜひ一度はご覧頂きたい住吉祭のハイライトです。 |
住吉祭のもうひとつの見所は8月1日に行われる「神輿渡御祭」(午後1時頃から)。住吉大社から堺市の宿院頓宮(お旅所)まで、船だんじりに神輿を乗せて「おわたり」します。約7キロほどの道程で、あいだには一級河川の大和川があるのですが、神輿を担ぎながら、この大和川をも超えます。この「大和川のお渡り」は、戦後から40年以上途絶えていたのですが、大和川付け替えから300年を迎えた2004年に劇的に復活しました。神輿渡御祭のハイライトとして必見です。
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神輿を載せた船だんじり。住吉大神は海の神さまですので、やはり船だんじりが似合います。 |
大和川を越えたあとは堺市内で、宿院頓宮に神輿が到着すると「荒和大祓神事」 (あらにごのおおはらいしんじ) という神事が粛々と行われます。江戸時代には、この神輿渡御祭の行列の炬火が、西宮はおろか、兵庫、明石まで見えたそうで、大阪湾一体の漁民たちが、この火を目印に神幸を拝したとか。そのご神幸をぜひとも体験してください。
<DATA>
■住吉大社 住吉祭
○日時:7月31日(夏越祓神事)、8月1日(神輿渡御祭)
○住所:大阪市住吉区住吉2-9-89
○アクセス:阪堺電気軌道阪堺線「住吉駅」
または「住吉鳥居前駅」から徒歩すぐ
または南海本線「住吉大社駅」から徒歩3分
○地図:
Yahoo!地図情報○HP:
住吉大社※ガイド記事は過去のデータを参考に作成してあります。2008年度のイベント内容につきましては、諸事情等で変更になる場合がありますので、予めご了承ください。
さて、「大阪三大夏祭りに行こう!」と題して、前編・後編とご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? 愛染祭、いくたま夏祭り、天神祭、住吉祭とありますが、それぞれに歴史や伝統、特色があって、大阪庶民が育んできた、豊かで素晴らしい生活文化が垣間見えると思います。今後も機会があれば、大阪の祭りをいろいろと取り上げていこうと思います。請う、ご期待ください!