ヴィッテルスバッハ家の膨大な絵画コレクション
アルトドルファー『イッソスの戦い(アレクサンドロス大王の戦い)』(1529年) |
そのコレクションの始まりは、1528年ごろバイエルン公ヴィルヘルム4世(在位1508-1550年)が、ミュンヘンの王宮内に飾るため制作を依頼した歴史画の作品群でした。そのうちの一つ、ドイツの画家アルトドルファーの描いた『イッソスの戦い(アレクサンドロス大王の戦い)』は有名で、現在アルテ・ピナコテークに所蔵されています。
ルーベンス『ルーベンスとイザベラ・ブラント』(1609/10年) 画家自身と最初の妻イザベラを描いた作品 |
プファルツ選帝侯ヨハン・ヴィルヘルム(在位1690-1716年)もオランダ・イタリア絵画の他、やはりフランドル絵画を精力的に収集。ルーベンスのものだけで46作品も所有していました。アルテ・ピナコテークにはそれらを展示する「ルーベンスの部屋」があり、この美術館の大きな見どころとなっています。
バイエルン王ルートヴィッヒ1世がピナコテークを創設
アルテ・ピナコテーク。第2次世界大戦で大部分が破壊され、戦後修復された |
このアルテ・ピナコテークに所蔵された絵画は、ヴィッテルスバッハ家の好みで収集されてきたもの。そのため内容に偏りがあり、14~17世紀の作品が大半を占めていました。ルートヴィッヒ1世の時代には、18世紀の絵画はあまり人気がなかったのです。現在展示されている18世紀の作品は、多くが20世紀後半になってから銀行の後援などにより補われたもの。こうしてアルテ・ピナコテークは、ヴィッテルスバッハ時代よりさらに内容豊かな美術館となりました。
次のページでは、国別に展示された主な作品を写真入りでご紹介します。鑑賞に疲れたらぜひ行っていただきたいカフェの情報も!