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「年金難民」といわれないために

「年金難民」といわれないための海外移住の心得とは?アジア域内では、ここ数年、リタイア後の高齢者を誘致する国が増えてきました。その反面、さまざまな社会問題がクローズアップされています。

千葉 千枝子

執筆者:千葉 千枝子

旅行ガイド

外国人の長期滞在者誘致に向けた施策を打ち出す国々が、アジア地域を中心に、ここ数年増加の傾向にあります。今回は、リタイア後の日本人高齢者を誘致する近隣諸国をご紹介するとともに、「年金難民」といわれないための海外移住の心得について特集します。


ベビーブーマーの大量退職

ベビーブーマー
米国では初代ベビーブーマーが今年60歳を迎える
戦後誕生したベビーブーム世代の大量退職は、日本に限った現象ではありません。日本における、いわゆる「団塊世代」は700万人といわれていますが、本家本元のアメリカでは、7820万人(1946~64年生まれ)を、広く「ベビーブーマー」と呼んでいます。両国ともに、全人口に占める割合がたいへん大きいため、常に消費の牽引者として、時代の脚光を浴びてきました。

そうしたなか、戦後の日本高度経済成長を支えた団塊世代の多くは、終身雇用制という日本型経営の名のもと、まとまった額の退職金を手に会社を去ることから、欧米社会とは異なる「リタイアリー像」が浮き彫りになっています。

団塊マネー50兆円を狙え

団塊世代が受け取る退職金の総額は、50兆円とも60兆円ともいわれており、そうした団塊マネーの行方は、金融機関やハウスメーカーなど、顧客の資産運用をつかさどる企業にとっては、たいへん魅力のあるマーケットといえます。
こうした世代の人たちが、若かりしころにやってみたかった夢、叶えられなかった夢のひとつに、「海外暮らし」を挙げていることから、ロングステイや海外移住をテーマにしたセミナーの開催が目立つようになりました。

また、アジア近隣諸国では、多額の退職金を手にした日本人高齢者を、積極的に受け入れようと、退職者向けの長期滞在ビザ(査証)を発給し、誘致合戦に乗り出す国も現れました。
こうした、「リタイアメント・ビザ(退職者査証)」を取得するためには、ある一定の財政条件をクリアすることが求められています。財政条件のおもな目的は、高齢者を受け入れることにより派生するリスクを回避するためのもので、一定額以上の預貯金や、年金を含む所得、保険の加入などとなっています。


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