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ミートホープ社事件は違法のデパート?(2ページ目)

最近紙面をにぎわせているミートホープ社の事件。牛肉と偽って豚肉を混入させていただけにとどまらず、雨水で肉を解凍したり、腐った肉を入れていた、などという報道まで出てきました。

酒井 将

執筆者:酒井 将

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ミートホープ社の違法行為は多岐にわたり、まさに違法のデパートといえますが、もしかしたらこれでもまだ氷山の一角なのかもしれません。

1 不正競争防止法

不正競争防止法2条1項13号では、商品の内容表示に虚偽の記載をして消費者を誤認させる行為を禁止しています。ミートホープ社の行為は、まさにこの規定に違反します。不正競争防止法違反の行為は、刑事罰の対象となり、行為者は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金刑に処せられます。また、法人つまりミートホープ社には、3億円以下の罰金刑が科せらることになります。

2 不当景品類及び不当表示防止法(景表法)

景表法4条では、やはり商品の品質等について、消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示して、不当に顧客を誘引する行為を禁止しています。ミートホープ社の行為は、この規定にも違反します。この場合、直ちに刑事罰を科せられるわけではありませんが、公正取引委員会による排除命令の対象となります。また、その後の処理に証拠隠滅などの不当な行為があれば、場合によっては刑事罰が科せられます。

3 食品衛生法

食品衛生法では、食品の安全性の確保のために、公衆衛生の見地から必要な規制を定めており、刑事罰もあります。今回のミートホープ社の行為のうち、床清掃のために貯蔵していた雨水を、原料肉の解凍に使用していたという点や、腐った肉を混入させていたという点については、この食品衛生法に違反しています。

4 日本農林規格(JAS)法

また、日本農林規格法においても、品質表示の適正化について規定があり、ミートホープ社の行為はこれに違反しています。この点に関連し、当初、日本農林規格法の所管官庁である農林水産省に内部告発があったようです。本件が全国規模の重大事件となりうる以上、農林水産省は、法律上認められた立入検査等の権限を自ら行使するなど、早期に適切な措置をとるべきだったと考えられます。ところが、農林水産省は、これを怠り、漫然と北海道庁の生活環境課に事務連絡しただけとのこと。そして、農林水産省からの事務連絡にもかかわらず、北海道庁が動かなかったという報道が流れました。これに対し、北海道庁は、そのような連絡を受けていないとして、国と自治体の間で責任のなすりつけあいがおこなわれています。

5 刑法(詐欺罪)

通常、品質の虚偽表示をしただけでは、詐欺罪での立件は難しいといえます。しかし、本件は、24年以上もの長きにわたり不当表示を続けており、しかも偽装の内容も、産地や賞味期限など多岐にわたるなど態様が非常に悪質です。そのため、北海道警察は、格安肉の高値販売を狙った詐欺容疑での立件も視野に捜査を進めているようです。
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