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堀江貴文、実刑? 控訴? それって何!(3ページ目)

先日、ライブドアの元社長である堀江貴文氏に対し、懲役2年6ヶ月の実刑判決が言渡されました。今回は、この事件を題材に、実刑判決と執行猶予の違い、控訴、再保釈などについて説明したいと思います。

酒井 将

執筆者:酒井 将

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保釈とは?

保釈の際には、その人の経済力に応じた一定の金額を担保として積み立てます。
最後に、再保釈について説明します。再保釈を説明するにあたっては、まずは保釈から説明することとします。

通常の刑事事件では、被告人は、裁判が終わるまでの間、勾留といって、拘置所に入れられています(これは刑罰ではありません)。裁判が終わるまでの間、被告人を拘置所に入れて身柄を拘束しておく理由は、逃亡の防止(裁判への出頭確保)や、証拠隠滅防止のためです。

しかし、裁判が終わるまでの長期間、ずっと拘置所に入れられたままでは、勤め人は会社をクビになってしまいますし、自営業者なら倒産です。妻には離婚され、子どもは非行に走るかもしれません。第一、もしかしたら無罪かもしれない人を、裁判が終わるまでの長期間、身体の自由を奪って良いはずがありません。

そこで、保釈といって、被告人に逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合には、裁判が終わるまでの間、一時的に拘置所を出て自宅などに帰ったりできる制度があります。

ただし、保釈の際には、その人の経済力に応じた一定の金額を担保として積み立てる必要があります。このお金を保釈保証金といいます。もし、被告人が、保釈条件に違反し、逃亡したり、証拠隠滅をした場合には、この保釈保証金は没収されてしまいます。保釈保証金の金額は、被告人が、「お金を没収されてしまっては困るなあ」と思う金額でなければ意味がありませんから、被告人の経済力に応じて異なります。

ふつうの人の場合は、150万円から300万円くらいですが、被告人がお金持ちの場合には、多額の保釈保証金を積まされることになります。
ちなみに、堀江氏の場合は、第1審の裁判の最中に、保釈金3億円で保釈が許可されました。

再保釈でさらに上乗せ

次に、再保釈とは、第1審で実刑判決となった場合、保釈の効力が失われてしまうので、改めて保釈をすることをいいます。実刑判決言渡し後の勾留は、その主たる目的が、刑の執行の確保・逃走の防止にあるとされているため、保釈の基準は判決前よりも厳格に取り扱われています。そのため、再保釈の場合は、追加の保釈保証金の納付が必要です。一般的には、第1審の保釈保証金に加えて、3割程度増額されることが多いと言われています。

今回、堀江氏の保釈保証金は、5億円でした。1審で3億円積んでいましたので、追加で2億円を納付したことになります。それにしても、5億円を一括で納付できるというのは、すごいですよね。

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