不満だらけの時代
花には手間がかかる。でもそれは「ムダなこと」じゃなくて「必要なこと」 |
K:そう! だから前はしょっちゅうぶつかっていました。「何で私ばっかり家事やんなきゃいけないの!? 私だって働いてるのに」って。
ガ:当然だと思うー。
K:その頃は、本当に毎日不満だらけでした。なんでうちは男の子しか生まれないの? 女の子がほしかったのに! とか、何でパパはもっと私を手伝ってくれないの? もー、毎日毎日忙しいッ!! ……なんて愚痴ばっかり言っていた。それでいて、子供がいることで仕事の遅れをとりたくないと、しゃかりきに頑張っていたから、家の中は雑然として、うるおいがなかった。元気があり余ってる子供を叱ってばかりだし、家にいても全然くつろげないし、3人目が生まれて、ますます家事も仕事も大変になると、イライラも極限に達して……。
ガ:でも、今すごく穏やかですよね。
大切な人を失って「大切なもの=家庭」に気づく
K:近所に住んで、何くれとなく世話を焼いてくれていた大好きな母が、2年前、突然他界したんです。勤務先の病院で人の死に接することも少なくない私ですが、人の命のはかなさをあらためて感じました。
母を失った悲しみの中で、今まで何とも思っていなかった平凡な日常が、かけがえのない大切なものなんだ、ということに気づいたんです。今まで不満ばっかり言っていたけど、3人の、それも健康な子供に恵まれただけでも、こんな幸せなことはないじゃないか。パパだって、本当はすごくいろいろ協力してくれていたんじゃないか。私の夜勤のときの子供たちの世話、保育園の送り迎え、布オムツまで洗ってくれてたのに、どこかで「私が働いているんだから当然」と思って甘えていた。毎日のあわただしさの中で、何か大切なものを見失っていた……。
「私ばっかり」が自分を苦しめていた!?
K:私が働いているんだから、パパにもきっちり半分、家事を分担してもらいたいのが人情だけど、それは理想論。それにパパには、私ではできないことがたくさんある。車での遠出、機械の修理、子供のスポーツのコーチ‥‥。今までは、それを見落としていました。
それに、私、この仕事が好きなんです。好きでやってる仕事がどんなにタイヘンだろうが、そんなのはパパや子供たちには関係ないこと。それより彼らにとっては、暮らしの質が向上することの方がずっと重要なんですよね。だから最近は、「この家に限っては、メインの家事はパパがやることじゃなくて、私がやることなんだ」と割り切るようになりました。
お母さんの死をきっかけに、次第にものの見方が変わっていったというKさん。その暮らしも、少しずつ変わっていきました。
花のある暮らし
K:パパのお母さん(姑)という人も、パパと同じ、美しいものが好きな人なんです。育児と仕事でいっぱいいっぱいだった時に「Kちゃん、家にはお花を置いた方がいいわよ」ってアドバイスされたときは、「こんなに忙しいのに花なんて、きっと私枯らしちゃうし、ムダ!」と思って聞き流していました。でも、今は玄関に花を欠かしません。疲れて家に帰ってきたとき、花が出迎えてくれると、気持ちがなごむし、花があるといいと気づいてからは、枯らさないように気を配るようになりました。「私にもできるんだ」とわかったら、なんだか嬉しくて。
オシャレになった
ガ:それにKさん、いつもおしゃれですよね。K:前は一年中ジーンズでした(笑)。でも今は、仕事のある日はきちんとメイクして、スカートをはくようにしています。これもお姑さんに言われたことなんだけど、「うちにいるときも、キレイにしてなきゃダメよ」って。確かに、男ばかりの我が家で、私がきちんとした格好をしていると、子供たちが喜びます。パパも、何も言わないけど、イヤではないんじゃないかな(笑)。
ガ:お姑さん、ご主人と同じで、美意識の高い方なんですね。
K:そうですね。もともと私、家事なんてどうにか回っていればいい、格好なんて何でもいい、実質第一主義だったのが、いつの間にか影響を受けているんですね。
仕事を持つKさんの家事スケジュールを教えて!