バナナの葉が揺れる。海からの風に吹かれて、木陰のハンモックでのんびり昼寝――といっても、南の島のリゾートの話じゃありません。東京から1時間とちょっとで行ける、湘南は逗子・秋谷。今回は、『湘南ちゃぶ台ライフ』の著書がある写真家の広田行正さん・千悦子さんご夫妻の、ゆったりとした、そして地に足のついた暮らしをご紹介します。

バナナの木陰の我が家

眺めと風通しのいい和室。千悦子さんの作品が並べられている


快晴のJR逗子駅から、さらにバスで30分。海の見えるバス停はひっそりとしています。広田さんのお宅へ続く狭く急な坂道を上ると、聞こえるのは蝉の声ばかり。途中で出会った宅配便の配達員さんに尋ねると、「広田さん? ああ、この突き当たりを右にずっと行って。ちょっとわかりにくいかもよ」とニヤリとされました。ビックリするほど細い小径を抜け、急に視界が開けるとそこには、たくさんのバナナの樹の木陰に、一軒の古い木造家屋が立っていました。「いらっしゃい!」スラリとした長身の広田ご夫妻が、愛犬サンとともに迎えてくださいました。

鬱蒼とした小径に足を踏み入れると‥途中にこんな可愛い表札が!


推定築40年のこの家に暮らすのは、写真家の行正さんと陶芸や創作活動をする妻の千悦子さん、小3の息子さんと、保健所で貰い受けたサン。もともとは東京の繁華街に住んでいた広田ご夫妻ですが、この近くに住むお友達の家に遊びに来るうちに秋谷が気に入り、10年前、不動産業者を通じて知ったこの家に引っ越してきました。 

窓から見える青い海

海に面したリビングは畳敷きで、大きな窓が二面にあり、周囲の溢れる緑を映しています。山側の窓の外には、見たこともないような巨大な桑の木が!「黒っぽい甘酸っぱい実がなるんですが、いいおやつになります(笑)」と千悦子さん。家の周辺に立つ何本ものバナナの樹は、ここに越してきた当時、よそからもらって移植したものの何代目かだそうで、温暖な気候に適応して大きな葉を繁らせています。

お邪魔している間じゅう、ずっと海からの心地いい風が家の中を吹き抜けていました。そのせいか、ものすごーく暑い日だったんですが、エアコンなしでも快適。「実際、ここは坂の下より体感温度は低いです。エアコンもあるにはあるんですけど‥」聞けば、千悦子さんが自宅出産した夏が、取水制限があるような猛暑で、そのためにわざわざ入れたエアコンだったが、それ以来使ったことがないとか。

広田行正さん。主な守備範囲は「海とダイブ」
奥様・千悦子さん


バナナの葉の向こうに青い海が‥!
青竹に活けられた花が風に揺れる