中国生活…それはサバイバル?!
日本人と中国人は、同じ黄色人種同士でパッと見た感じで「外国人!」と感じてしまう心理的な圧迫感がない分、つい日本人の感覚・常識のまま接してしまいがちです。しかし、中国での生活は、日本の生活の感覚や常識を持ち込んでいてはとても勤まらない!ということが小田さんの本からは伝わってきます。
例えば日本にいればごく当たり前のこと、トイレに用済みのペーパーを流せるとか、いつでも電気が使えるとか、約束の時間は正確に守られるとか、そういうモノは、中国でいつでも得られるとは限りません。(得られない、と思っておいたほうがショックが少ないかも…)
中国名物のドアなしトイレの正しい使い方も、未経験の人にとっては非常に勉強(?)になることでしょう。
逆に中国人が、日本の「温泉」にショックを受けるというエピソードもあります。テレビなどで見るように、タオルを巻いて温泉に入ると思い込んでいた中国人女性の友人に「ちゃんと全部脱いで、全裸で入るんだよ」と教えたところ、ショックで大絶叫。(漫画ですから多少の演出もあるのでしょうが…)
「日本人はドアなしトイレをピーピー言うくせに、どうして全裸を見せ合うことは大丈夫なワケ?!」
漫画の枠外に、その彼女の直筆で「私は熱海の温泉で、ちゃんと裸で入りました」と書いてあるのも、なんともいじらしい感じです。
こんな、小田さんと仲良しの中国人女性とが、お互いの言葉や文化を教え合うエピソードは読んで楽しく、羨ましくさえ見えます。
おそらく、「大好き」と「大嫌い」の境目は、こうしたカルチャーギャップを楽しめて受け入れられるか、受け入れられずストレスになるか、がポイントなのでしょう。旅行で訪れる中国と、実際にその土地に根を下ろして生活するという距離感の違いもありそうです。
実際に生活するしないは別として、知っておいて損なし!
中国語学習者がすべて、小田さんのようにディープに中国生活に適応しなければならないというわけではありません。中国生活の現実を知って、「楽しそう、ぜひ自分もやってみたい」と思うか「うわー…自分にはちょっとキツいかも…」と思うか、人それぞれでしょう。自分のキャパシティを知って、できるスタンスで中国とつきあえばよいわけで、みんながみんな中国の田舎で日本語教師をやる必要はないのです。
ただ、お互いの生活習慣の違いや文化的な背景を知っておくことは、語学学習の大きな助けになります。中国人の友人ができたときに、「なぜこの人はこんな行動を…?」と疑問が湧いた時、中国の生活習慣を照らし合わせて考えると納得がいく場合もあるでしょう。
中国生活を夢見る人が現実を知るのもよし、中国生活の漫画つきエッセイ本として楽しむもよし。中国人も読むと思わず笑ってしまうというこの本、一読の価値ありです。
小田さんはこの他にも中国関連の著作を多数出されています。中国生活の現実を知りたい人、等身大の中国人を知りたい人は、ぜひ注目してみてください!
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