エアコン設置の全貌を大公開!
今回取り付けた機種 National・ルームエアコン
購入前から「取材をするので」と特別なオファーはせず、当日来てくれた職人さんに「良いですか?」と許可をとってのリポートです。巷で騒がれている「エアパージ」についても、職人さんにヒヤリングしてみました!エアコン設置を依頼した方、これから依頼する方、参考になさって下さい。
<目次>
エアコン取り付け工事に扇風機は必需品!
参考商品 Electrolux・クラシックサーキュレーター |
当たり前のことですが、エアコンの取り付けをする部屋は、エアコンが使えない状況となります。そして、エアコンの取り付けは6月・7月がピークと言われています。ということは...部屋が暑いんです。そこで、必要になるのが“扇風機”です。
ガイドも職人さんに「すみません、この扇風機回しても良いですか?」と聞かれて、作業をしている職人さんが汗だくなのに気がつきました。ごめんなさい!暑い中での作業は大変ですし、これでは効率も落ちます。ということで、エアコン取り付けの際は、必ず“扇風機”を用意してあげましょう。
エアコン本体の裏側から工事の概要を知る
いよいよ本題、まずは室内機から。めったに見ることの無い裏側を拝見。室内機本体の裏側には、冷媒管2本(太・細)・電源2本(コンセント差込み用・室外機用3芯電源)・ドレンホース(水拭き)が納まっています。これらを、それぞれ所定の位置へ取り付けるのが、エアコンの施工工事となります。工事の概略は以下となります。エアコン室内機の裏 |
(1)室内コンセント差込みへ
(2)室外機とつなぐ
■冷媒管(太・細の2本)
(3)室外機とつなぐ
■ドレンホース
(4)室外へ出す
エアコン工事は、室内機と室外機をつなぐことがメインとなります。この2つをつなぐための「電源・冷媒管」と、排水のための「ドレンホース」の3つをまとめて、ひとつの穴から室外へ出すのが、一般的な接続方法になります。
エアコンの設置場所は「壁の穴」で決まる!
最近は、エアコン用の“穴”が最初から壁にある場合が多いかと思います。初めから、冷媒管を出す穴・ドレンホースを出す穴・コンセントの位置が設定されている場合は、これらとの兼ね合いで、エアコンの取り付け位置はほぼ決まります。が、その範囲でもベストポジョンに付けられる様にしたいものです。配管や電源が壁を延々這うのは今ひとつなので、充分に検討して決めましょう。確認したいポイントは、以下になります。■室内機ドレンホース冷媒管(太・細の2本)電源
- 冷暖房の効率が良いか?
- フィルターや取替え必要な付属品を外したりできるか?
- 天袋の扉や収納の扉がエアコンに当たらないか?
- カーテンなどがきちんと開け閉めできるか?
- 見栄えは良いか?
■室外機
- 室内機に近いか?
- 日が当たらない風通しの良い場所か?
壁の穴あけについて Nationalルームエアコン 据付工事説明書より |
同時に電源の位置も確認します。電源がきていない場合は、さらに配線工事が必要になります。コンセント差込の形が違う場合なども、プレートを取り替えたりします。
これで、周辺の状況は整いました!次はいよいよ取り付けです。
エアコンの位置を決める「据付板」
据付版を取り付けた様子 |
据付版と配管の位置関係
室外との関係で仕方ないとは言え、左右に配管が露出してしまい、見栄えは決して良くありません。戸建の人はこのようなことの無い様に、しっかり計画して下さいね。
室内機と室外機をつなぐ配管・配線工事
壁を通した冷媒管 |
エアコン室内機と接続 |
エアコン室外機と接続 |
まず最初は、本体の加工です。本体に対して壁の穴が右か左かにより、本体裏の冷媒管・電源・ドレンホースをどちらへ出すかが変わります。位置関係をしっかり確認してから、各配管を適した方向へ出します。
■冷媒管の接続
次に、壁の穴から冷媒管を通します。壁に取り付けた据付板にエアコン本体を仮止めして、壁の穴を通した冷媒管とエアコン本体からでている冷媒管を接続します。
接続が済むと、冷媒管をテープで巻き、エアコン本体裏へ納めます。それに沿わせて、室外機用の電源コードも一緒に巻きつけて外に出します。ドレンホースも室外へ出し、室内側の作業は一旦終了です。
■室外機との接続
次に外へと回り、室内からででいる、冷媒管・電源コードを室外機に接続します。基本的には、これで配管・配線工事は終了です。
一般的なエアコン配管の例 |
通常配管は...
エアコン本体の冷媒管 →(接続1)→ 延長の冷媒管 →(接続2)室外機
となり、ジョイントするのは2ヶ所となります。しかしガイド宅は、隠ぺい配管のため、少々接続が複雑となりました。参考までにご紹介しましょう。
隠ぺい配管は...
エアコン本体の冷媒管→(接続1)→延長の新規冷媒管→(接続2)→隠ぺいの既存配管→(接続3)→屋外・延長の新規冷媒管→(接続4)室外機
エアコンの隠ぺい配管の例 |
上図のように、ジョイントは4ヶ所必要となりました。職人さん曰く、やはりこの接続が多ければ多いほど、ガスモレなどのリスクが高くなるとのことです。隠ぺい配管はキレイに仕上がるメリットがありますが、その分こういうリスクもあるということですね。
今や「エアパージは真空引き」が当たり前!
手動式・真空ポンプ |
以前は「ガス圧方式」といい、室外機にあらかじめ充填されているフロンガスのガス圧で空気を押し出す方法が主流でした。エアコン工事の際に、ぷしゅ~という音を聞いたことがありませんか?あれがこの方式です。
そして、現在推奨されているのは、いわゆる「真空引き」や「真空ポンプ方式」と呼ばれ、室内機と室外機の冷媒管を接続した後、真空ポンプを使用して配管内の空気を可能な限り取り除いてから冷媒を充填させる方法です。この方法は、機器への影響だけでなく、環境配慮の一環としても推奨されています。
しかしこの「真空引き」が実施されず、あちこちのサイトで『エアパージの手拭工事』として取り上げられているので、職人さんに現状を聞いてみました。すると...
代替フロンになり、真空ポンプ式が導入された当初、工具が高くてそれを買うのが大変だった。業者にとっては、その出費が痛く、ガス圧方式による「エアパージ」を続けていたケースも確かにあった。
しかし、最近では、フロンの環境問題がうるさくなり、工具も手頃なものができたので、真空ポンプ式で施工をするのが当たり前になってますね。
とのことでした。ちょうどここ2~3年が「真空引き」の導入期で、トラブルも多くなっていたようですね。職人さんも、ネットでいろいろ騒がれているというのは良くご存じでしたし、これからは「真空ポンプ式」か否かを心配する必要は、少なくなっていくのでは?と感じました。
手動式真空ポンプで作業中 |
真空状態が分かるメーター |
ここで気になるのが「電動式と手動式では差があるのか?」という点。確かに電動式の方が、真空到達度は高くなるそうです。が、家庭用のエアコンであれば、手動式でも特に問題は無いとの見解が大半です。しかし、雨などで配管に水分が混入した可能性のある場合や、より完璧な施工を望む人は、電動式の方が良いかもしれません。施工を頼む際に、よく話を聞いた上で、納得の行く方法で施工してもらいましょう。
【参考サイト】
エアコン工事の注意点 by エアコントラブル相談室
これで、冷媒管に冷媒も充填されました。冷房運転中は、ドレンホースから水がでますので、排水に都合の良い位置へ設置すれば、機器類の設定はおしまいです!
エアコンの運転と清算を確認して終了!
エアコン取り付け工事完了 |
「片付ける間に不都合な点があれば言って下さい、直しますから」と言われ、各所の納まりをしっかりチェック。特に問題はなく、丁寧に施工してもらえたと満足のレベル。ただひとつ、配管が左右になってしまい「引っ張りだこ」みたいになってしまったのが残念。やはり初期の“穴”開け位置は重要です!
最後に、工事費の清算です。基本工事費用はすでに販売店に支払済みですが、ガイド宅の場合は、隠ぺい配管によるプラス工費が発生。「天井裏の隠ぺい送り配管」と「冷媒管接続2ヶ所追加」となったので...
隠ぺい配管基本費用【6,000円】+接続部品*2つ【2,400円】=【8,400円】
の追加となりました。施工確認書にサインをし、領収書・業者の連絡先をキッチリもらい終了です。所要時間は、約2.5時間。本当に、ご苦労様でした。
今回、これだけしつこくまとわりついても、職人さんは嫌な顔ひとつせず、親切に説明して下さいました。工事の時は、最初から疑いの目を持ったり、けんか腰で接するのはご法度。職人さんだって、ハナから疑われては、気持ちよく仕事はできません。まずは、きちんと施工の方法を説明してもらい、分からないことは聞くというスタンスで臨んでください。それでも納得がいかない場合、施工を中断してもらい販売店へ確認をするなど、冷静に対処をしたいものです。
いかがでしたか?ガイド宅は、隠ぺい配管ということで、通常工事より手間がかかり、所要時間も長くなってしまいましたが、通常なら1時間強で終わったと思います。皆さんの取り付けの際に、何かの参考になれば幸いです!
★最後に★
新しいエアコンを使用開始した感想を。一番のオドロキは、その静かさ。古いエアコンは7年目ですが「風、だしまーす」と言わんばかりの主張ぶりで、運転音がしっかり。しかし、新しいのは、運転しているんだかいないんだか、分からないほど静かなのです。本当に、技術は進歩しているんだなぁ~と実感しました。
(※この記事は2005年当時のものです)
【関連記事】