アプトからN100を西に行くとゴルドとカヴァイヨンを結ぶD2に当たります。ここからリュベロンの山に向かって進むと坂に差しかかる前に延々と石を積み上げた高さ1mあまりの塀が道路わきに見えてきます。この塀がすでにボリー村の一角、車を松林の中の駐車場に停め案内板に従って石塀にはさまれた狭い道を6、700メートルも進むと塀の中にベージュ色の石の山がモコモコと連なっているところが見えてきます。
入口で切符をもいでもらい中に入ってビックリ、石の山に見えたのがボリー。高くて立派なのが母屋、低くて細長い納屋が続き、右に見える別棟の小さめのボリーは家畜小屋。壁に当たる部分はまっすぐに平たい石が積み上げられ、軒から斜めにせり上がって行き、あるものは切妻状に棟が上がり、ひときわ高いとんがり屋根はてっぺんに煙突を兼ねた煙抜きになっています。
外観を細かに見てみても木らしき物はドアだけ。あとはすべて平たい石ばかり。入口をくぐり抜けて中から見ても石、石、石。しかもすきまにモルタルも粘土もないただひたすら石ばかりで積み上げられた小屋です。
天井を見上げると内部にも骨組みは全くなし、外観どおり積み石のみ。これで雨漏りも無く隙間風はひどそうだけど地震さえなければ何十年、何百年も風雨に耐えられそうです。水害は多くても地震の全くない南仏ならではですね。
温暖なプロヴァンスも実は冬は結構厳しく、北の山地から吹き降ろすミストラルは容赦ありません。時には雪も積もります。そこで住居には中央に石組みの窯がしつらえられて、ある時はオーブンとなり、夜は照明も兼ねた暖炉として一家団らんを過ごしたんでしょう。
■つい150年前まで生活してたの!?