ピーターメイル作一連のプロヴァンスものに時おり紹介されている壁から入口屋根にいたるまですべて石で作られたボリー(Bories)と呼ばれる家、一体どんなものか見当がつきませんね?あるときは納屋として、時には別荘の庭の一角に東屋代わりにムードたっぷりな休憩場所として現在も南仏で時々見かける昔ながらの総石造りの家。そこで3000年以上の歴史があり、ほんの150年程前まで実際にその中で生活していたと言うゴルド近くのボリー村を訪ねてみました。
INDEX
■ボリーって何?
■上も下も内も外も材料はすべて石!
■つい150年前まで生活してたの!?
■優雅なフランス王朝の影に隠れた過酷な生活
■ボリーお役立ち情報情報
■ボリーって何?
南仏ではるか昔、およそ3000年前の青銅器時代ごろから人々は穴居生活から抜け出し、あちこちで手に入る石灰岩の平たい石を積み上げ総石造りの小屋を作って住み始めたそうです。英語の小屋(hut)にあたるユット(hutte)などと呼ばれるものをリュベロンなどボークリューズ地方ではボリーと呼び、丈夫で長持ちのする格安な住まいとしてつい最近まで使われていたそうです。
最も新しいボリーは18世紀後半の建造で、近代化された1800年代半ばまで一部の労働者階級がここに住んでいた記録が残されています。現在も完全な形で残ったボリーを納屋として使ったり、また以前ボリーの材料であった石を塀や壁の材料として使った家をゴルドはじめリュベロンの各地で見つけることが出来ます。
さすがにいくら丈夫だとはいえ現在の便利な世の中で石器時代に近い暮らしを続けることは出来ません、消え行くこの貴重な文化資源を保存する為フランス政府が1977年重要文化財に指定し、ボリー村として周壁から家や納屋、家畜小屋、そして家財など一切がっさい完全な形で保存するようになりました。