とりあえず、周囲をよく調べて、自分の体をとらえるレンズがないだろうと見きわめてから、着替えをするようになった。
(それにしても…。彼氏やお金のためなら、盗撮でもなんでもするってのも…な。愛なんだか、なんだか。人の気持ちは理解できない)
と思った。

「プライバシーの侵害よね」
と、友だちに訴えた。
「ま、これからは人がいないと思っても、鏡の前でヘンなポーズはとらないことだね」
2人で大笑いしたが、やはり犯罪なのだから許してはいけない、と強く思った。盗撮がこんなに身近にあったというショックはしばらく消えそうにないM希だった。


女子大生R香(19歳)の場合

R香(19歳)は、女子大生。通学しやすい私鉄沿線のアパートに住んでいる。新築ではないが、わりと新しいきれいな建物で、2階だ。細長い建物の一番奥なので、通りからはまったく見えない。室内は広めのワンルームで、実はかなりだらしのないほうなので、散らかっている。

「片づけられない女」といったテレビ番組を見たことがあるが、(あれよりはかなりまし、いや少しはまし、まあ、そんなにひどくないと思うけど)と、頓着しないタイプだった。はっきり言って、春に入居して以来、掃除をしたことはほとんどなかったのだ。

不審な男

そんなR香だったので、ドアがどうなっているか見たこともなかった。ある日、夜遅くなってアパートに戻った。2階に上がると、一番奥に男の姿がある。ドアに顔をつけるようにしている。自分の部屋の前だ。

咳払いを大きく一つすると、男が飛び上がった。こちらを見て急いで歩いてきた。にらむように立ち止まっていたが、男が立ち去るのを見てから、自室に行った。

カギを開けようとしてバッグの中に手を入れたが、何かちょっといつもと違う。あれ?っとドアを見ると、中から明かりが漏れている。どこからかとよく見ると、ドアスコープからだ。

室内に誰かいるのかな、と思った瞬間、あることに気がついた。ドアスコープがあると思ったが、それがなかったのだ。ドアに丸く穴が開いている状態だ。普通なら魚眼レンズがあって、外から中は見えないはず。ところが、穴からのぞくと室内が見える。つまり、ドアスコープそのものがすっかり、取り除かれていたのである。

部屋に入ってよく考えたところ、その日、出かけるときに電灯を消し忘れていたことを思い出した。別に誰かが侵入したわけでもなさそうだ。しかし、ドアスコープがいつからなかったのか? 

いくら考えてもわからなかった。とすると、電灯がついていれば中に人がいると思って、さっきの男のようにのぞいている人がいたのかもしれない。もう一度外から見てみると、室内は丸見えだった。とりあえずティッシュペーパーを穴に詰め込んでその日は寝た。


いつから?

翌日、管理会社に連絡したところ、修理は業者の都合で翌日になるという。
「でも、いったいいつからなかったんですかね」
と聞かれて、
「わからないです」
と答えたところ、
「わからないってのも、よくわからないなあ」
と笑われた。

とりあえずその日は学校を休んで家の掃除をすることにした。夕方になっても、半分くらいしか、片づかなかったので、駅前の大きなスーパーに行って、長いカーテンを買ってきた。玄関の上がり口のあたりの上の天井に画鋲をたくさん使って取り付けた。室内が見えないようになった。
「おおー、やるじゃん」
と自分に感心して、掃除はそれで終わりにした。やってきた修理の業者に、


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