「畳って、なーんか癒される~」んだけど…
初夏の緑と畳の青さ、どちらも捨てがたく、さわやか~… |
先月、少し早い夏休みと取材を兼ねて、深山の温泉郷に行って参りました。
通された老舗旅館の(まぁまぁ価格の…)客室は、『絵にかいたような和室』。
普段なかなか見ることのない12畳という広さにも「わっ」と思いましたが、あの畳独特の香りや、そのもたらす清浄な空気感が窓の向こうの深い緑とあいまって、一気にくつろいでしまいました。
仲居さんがいなくなった途端、お行儀は悪いですけど、そのまま「ごろーん」です。
「畳っていいねぇ~。これベッドの部屋じゃこうはくつろげないよね~」と同行者と言い合いましたが、何故か自分の家には「畳の部屋など、無くてもいいと思っている」或いは「畳部屋じたい無い」という意見が多い!
どうして?!
「畳って、めんどくさーい」
ダニが出そう? 畳から出やすいコナダニは、実は人を刺しません。このダニを放置する(=掃除をサボる)と、コナダニを食べるツメダニが繁殖して、噛むのです! |
「だって、タタミってどんどんケバ立ってきて、掃除しづらくない?」
「ダニ出そうじゃん」
「猫がオシッコしちゃうと、臭いが取れないんだよね畳」
「家具置いちゃうと狭苦しい感じがするし、使いようがないっていうか」
「和室、気づくと物置化してるし」
……。
かつて、何でもかんでも洋モノがカッコイイ、という時代がありましたよね。そんな時代に、幼少期を送ってきたガイドなどの世代は、いささか奇妙な『和室』でもって、少々歪んだインテリア観を養ってきてしまったきらいがあります。
例えば、「砂壁の和室なのに、畳の上にカーペットを敷き詰め、カーテンを吊るすなどの無茶な洋室化」を図った子ども部屋を親にあてがわれた、とか……。
(参考記事: 『もっともっと、「和室」を使おう!』)
「だって畳の部屋にベッド置けないじゃん」
という理由で、今でもそんな「洋室化」を図っているお宅って、案外少なくないのではないでしょうか?
(織りのカーペットは「ウッドカーペット」に代わっているかもしれませんが……。)
「畳=貧乏臭い」
というイメージも、どこか、あるようです。
でも、高級旅館の『和室』の畳からは、そんな臭さは漂ってきません。
さらに、日本以外では、ZENだのTATAMIだのFUTONだのは、ひどく「カッコイイ」ものの代名詞みたいですね。海外のインテリア誌をたまに読むと、いろんな意味でぶっとんでしまうことがあるのですが、なかなか新鮮です。
また、オールフローリングで仕上げたマンションなどでも、『置き畳』を後から採り入れるケースがあります。「夏はラグよりもさっぱりしてるし、冬は暖かい」というそのメリット、最初から和室を設えていても味わえたはずなのですが……。
かくも我々の『和室』に寄せる思いは、アンビヴァレントかつ複雑であるようです。
でも時代は! エコでロハスでまったり……畳の良さ、再考
古くて、かっこいい……。価値観は多様化してきています。センスも! |
などと言っている中、近年、妙にふるーい『町屋』や『古家』を自分流に住みこなす若いヒトが暮らし・インテリア誌などのカラーページをかざり、そのライフスタイルのエコっぽさやロハスさをアピールしているのが、目に留まります。
それがもう、非常に「カッコイイ」。
なんだか、ペカペカの新建材だらけのマンションなどを、有難がっているのが、どこか、「ださー」いような、気さえしてきます。
『町屋』や『古家』は、殆ど昔ながらの和室や板間(フローリング、ではない)の“素”を、“味”にしていて、そのページから感じ取れる空気はまた、件の老舗旅館のそれにそっくりであるように感じられるのです。
そう、その清涼感、癒し、くつろぎ……。
真夏のソウメンなどのCMでは、未だ「和室、縁側、風鈴、よしず、蝉の声」がセットで「日本の夏の涼!」をイメージさせていますが(観ているこちらはエアコンがんがん効いたリビングに居るにしても…)、そのイメージ映像に胸をつかまれてしまう私たちはまたどこかに、『和室』や『畳』の「本来あるべき姿」への憧憬を抱きつづけているのでしょうね。
……という、長い長い前置きの後、我が家の畳部屋を、たった5分でサッパリさせてしまう秘術?!をお知らせしちゃおうじゃ、ありませんか!