■二世帯住宅を建てる『理由』を知る■二つの家族による一つの住まい、『二世帯住宅』。同居がアタリマエだった時代から、核家族化が進んだ時代を経て。いま敢えて二世帯住宅を建てる、その本当の『理由』は何でしょう?子どもとしては、「実家に帰れば土地がある。マイホームを手に入れるためのハードルが低い…」「子どもの面倒をおじいちゃん、おばあちゃんに見てもらって、外で働きたい…」親の側からは、「息子と同居すれば、老後の心配もない…」「孫に囲まれて、楽しく賑やかに暮らせる…」等々。タテマエとしての経済的理由だけでなくウェットな打算面があったり、双方、なかなか口に出さない、出しづらい心情的ホンネが隠れていたり?でも、この「ホンネ」こそが『二世帯住宅』の重要な「メリット」です。裏返せば「ホンネ」には『二世帯住宅を建てたくない』デメリットも含まれているということですが。デメリットを上回るメリットがあるか否か。それは自分たちで判断するしかないことではあります。ただ、若い夫婦だけの子育てや共働きが容易でない事実や、いつか親が老い、健康を損なってしまうだろうことは、如何とも否定しがたいことです。『二世帯住宅』に一緒に暮らすことで回避できる問題、また受けられる恩恵の価値は、目先の損得勘定や皮算用では読みきれないもの。将来のメリット。そしてデメリット。広く長い目で二世帯住宅を建てる『自分たちにとっての理由』を明らかにすることが肝要です。■住まう者の『性格』を知る■二世帯を建てる理由を明らかにする。それには、まず二世帯の計画が出た時点でお互い「遠慮」「気兼ね」「我慢」を捨てることが大事。長寿大国ニッポン! 10年20年どころか50年一緒に暮らす可能性だってあるのです。今、我慢してしまったことが向こう30年続くことを想像してみて下さい。普通の住まい作りでも同じことですが、もう一段シビアになのが『二世帯住宅』なのです。まずは、ざっくばらんな話し合いの時間をたくさん持つこと。でもお互いの予定が合わない、親世帯・子世帯の言い分がまったく合致しない、など、険悪になり話し合いが暗礁に乗り上げてしまうことも…悲しいけれど正直にぶつかればぶつかるほど、あります。そんなときは奥の手! 設計家や営業マンなどプロの手を借りてしまいましょう。このような相談事に乗るのもプロの仕事のうちです。相性もありますが、第三者を入れることが計画中座の突破口になることはとても多いです。当事者(住まい手)以外からの視点を持たせることが第一。「家族のことは家族が一番分かってる」でも家族だからこそ、こじれてしまうこともあります。たとえ親子…であっても、「二つの家族」。そして『二世帯住宅』におけるトラブル原因は、生活パターンのずれなどの、毎日の生活に関る「ほんの些細なこと」の積み重なりが殆ど。つまりは、瑣末な「ズレ」を生じさせないで毎日の生活が送れるよう工夫することが<最も大事なポイント>だと言うことになるのではないかと思います。また「自分は『二世帯住宅』『二世帯同居』に向いているか、どうか…?」ということを、よく省みてその住まい方を変えていく、ということも大きなポイントになってくるのではないでしょうか。自分自身、そして自分たちの性格をしっかり見据えること。そこで初めて、建物のカタチをはじめとする『設計上でき得る最大限の工夫』が期待できるようになるのです。前のページへ123次のページへ