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「展示場はドリームの世界?!」
住宅展示場の最たる存在意義って、「実物大の、そのままの」家を体験できるコト。でも……。
ワタシがまだ若かりし女学生だった頃、アルバイトしていた某大手メーカーの住宅展示場は、バブルの残り香かぐわしい大邸宅。
レンガのアプローチを上がると、重厚な木製の玄関ドア。正面には坪庭。16畳の続きの和室に茶室つき!
重厚なフローリングに重厚なソファのリビングには、重厚な絨毯が敷かれ、広い大理石のキッチンのキャビネットにはバカラのグラスがライトアップされてキラリ~ン……。寝室には総ガラスの怪しいシャワーブースまで。
一体幾らなんですかこの家?
確かに、「折角展示場に来たのに夢がない普通の家じゃん」とガッカリされるのはメーカーとしてはクヤシイ! でも、「実際建てたら展示場とえらい違うじゃん!」と思われるのとではどっちがよりメーカーにとってマイナスなのでしょう?
実は展示場のこんな「ドリーム部分」は主に「オプション」と呼ばれる特別仕様の設備や仕上げ材。「標準装備」と異なり、追加費用の負担がなければ我が家には取り入れられないモノなのです。
「これは?」と思われる設備や仕上げ(ドアや、壁紙や、クロゼットや、お風呂、キッチンなどいろいろ)があったら、くまなく「これオプション?」と確かめることで、ドリームからリアルに戻ってくることが出来ます。
そして、本当に欲しい設備や仕様ならば、何十年も住む住まいですから、
奮発して取り入れてみるのもテですね。
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「ここは一体どこの国?!」
これは長年謎で、私がアルバイトをしたり勤めた会社以外でも多く共通していることなのですが……
「何故か、本棚には洋書」。
リビングにも、子ども部屋にも、書斎にも洋書。
キッチンにも洋書の料理本!
各メーカーで洋書を確認するたびに「ウッ」「お前もかブルータス!?」と胸を押さえて倒れそうになっちゃいます。果たして、これはイメージ戦略か、はたまた非現実感の演出か……?!
もっとも最近は『和』ブームもあり、和のファニチャーに押されて洋書三昧は駆逐されつつあります。が、やっぱり流行のSOHOスペースにはマッキントッシュと洋書の専門書、キッチンには輸入ミネラルウォーター、輸入瓶詰めピクルス、輸入ケチャップ、英字レシピ。また家事室には輸入洗剤や輸入トイレットペーパーや…(以下略)。
「新しい住まいを建てれば、こんな生活があなたに…!」というメッセージ(?)なのかも知れませんが、あまりに生活感からかけ離れているのも問題ですよね。
このオシャレなキッチンで天ぷら揚げた場合の動線(住まいの中で人はどのように行動するか、その動きを線で辿ったもの。この場合は家事動線)は、自然かしら…? ここに洗濯機があるのは便利なのかしら…? 等々、実際の使い勝手まで突っ込んで係員や営業マンに質問してみるのも大事。
売り手の本当の考え方や意識は、美麗かつ国籍不明な展示場の、目には見えない「ウラ」側にあるものです。