海外のカッコイイホテルと東京のホテルの違い
「デザインは、色や形だけでなく時代そのものなんです。時代が変ればデザインにも変化が起こる。モダニズムからポストモダンというように必ず変化が起こる。そういう変化の瞬間にデザインは創造されるということ。ですからデザイナーは、常に毎日の生活シーンのなかで変化に敏感でいる必要がある」とフィリップ・スタルクは語る。そうですね、同感! NYやロンドン、最近ではスカンジナビアのストックホルムやオスロ、コペンハーゲンなどを訪れると、とてもカッコイイホテルに出会うことが多い。それは特にロビーやバーに強くメッセージされているように感じている。
こういうニュアンスがなかなか東京では体験出来ない。その理由はエントランスにあるのかもしれない。概ね海外のホテルはタイプは別にしてエントランスがこじんまりとしている。ロンドンの名門「コノート」などは、よく注意して見ないと通り過ぎてしまうほどメイフェアの街の雰囲気に溶け込んでいる。
かつては「ホテル高輪」とか「フェアモントホテル」といったコージーな雰囲気のホテルがあって、まさにイングリッシュスタイルのホテルそのものであった。小さなロビー、その脇には小さなバーがあって、午後の時間になると初老のご夫婦が皇居を見渡すテーブル席でアフタヌーンティーを楽しんでいる光景に何度か出くわしたことがある。それはまるで何日も時間が止まってしまっているような光景であった。
いま、そうしたDNAを感じさせてくれるのはホテルニューグランドのようなクラシックホテルに限られるが、少し赴きは変るが、幕張の「ホテルマンハッタン」このホテルにはやや昔のそうしたホテルのDNAを感じることがある。最上階のバー「スプレンディード」はポートレートバーで、店内にはオールドジャズプレーヤーの写真などが飾られている。
このバーには想い出がある。実はガイドがこのお店のゴッドファーザー。もう20年ほど前のことであるが、イタリアの景勝地ポルトフィーノにある「ホテル・スプレンディード」を取材した。この記事をご覧なった「ホテルマンハッタン」のオーナーから電話があった。
「スプレンディード、素晴らしい響きですね。フランク・シナトラの歌にもなっているし」
この電話がご縁で、なんとこのバーの店名が「スプレンディード」になったというエピソード。幕張の新しい街並みとはちょっと異なるイメージで、どちらかといえば外観もNYスタイルなのが特徴の「ホテルマンハッタン」。東京ディズニーリゾートにも近いので、一度是非訪れては!