スパを最大テーマにおいたリノベーション
今回のリノベーションの最大のテーマはスパ。都内の外資系高級ホテルのブランド比較で真っ先にペネトレーション(相互比較)されるのがスパ施設。マンダラスパやバリヤンツリー、イースパなど世界的に有名なブランドスパが目白押しのなかで、敢えて自前のオリジナルスパを開発した点に注目が集まる。施設コンセプトになっている「IDEAL(イデアル)」(理想)を掲げるスパでは、トリートメント、アクア(水を活用したプログラム)、フィットネスの3アイテムを連動させた、美容と健康の増進を図る独自のスパプログラムを構築。そして、客のひとりひとりをある意味本格的なデスティネーションスパ(訪問目的型)としての方向性を目指している。
ホテルラバーズが「いま」求めているものとは?
この傾向は、世界のメジャー都市であるNY、パリ、ロンドン、モスクワなどのホテルでも共通のトレンドが生まれていることからも、最も先鋭的なホテルラバーズの琴線に触れていることを窺わせる。従来のホテルの楽しみ方の中心になったのは、食であったり酒であったり、あるいはスイート仕様の客室の豪華さであったりした。
しかし、欧米の高級ホテルがそうであるように、この数年、ホテルの楽しみ方の軸が大きく変貌してきているのは顕著であろう。コート・ダジュールやサン・モリッツといったセレブ御用達の高級リゾートで限定的に発行されるホテルマガジンでは、最近『スパ・リビング』なる言葉が頻繁に登場している。
スパ・リビング、即ち客室そのものをスパのライフスタイルに設定した新しい考え方の客室である。当然ながら、ホテルゲストのホテルライフはスパが中心で、自分の部屋でトリートメントやマッサージのサービスを受けることも可能ということ。ホテルにチェックインすると部屋着もリラクゼーションの流れに乗ってスパウェアという徹底振り。レストラン&バー、ロビーなどのパブリックスペースに出るときは、まさに“お出掛け感覚”。
こうした成熟振りをみると、日本でのスパ文化の現状はまだまだ未成熟の域を出ていないというのが正直なところ。「ホテル日航東京」の今回のチャレンジ、是非皆様も体験して欲しい!
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