ケータイのカメラ機能がデジタルカメラにかなわない理由とは?
以前、筆者はケータイのカメラ機能がスローな理由とは?というガイド記事を書いたが、ケータイとデジタルカメラの間にはさらに大きな差がある。画質である。
当ガイドでもケータイのカメラ機能についてレビューしているが、どうしても「ケータイのカメラとしては」という枕詞をつけざるをえない。
それほどまでに画質として差があるのだ。
それはカメラ機能をブラッシュアップしたSH-01A(レビュー)であっても、である。
そこには大きな違いが主としてふたつ存在している。
今回はその違いについて解説するとしよう。
CCDとCMOSの差異とは?
まず、大きな差異は撮像素子だ。多くのコンパクトスタイルのデジタルカメラが撮像素子にCCDイメージセンサ(以下、CCD)を採用しているのに比べ、昨今のケータイはほとんどがCMOSイメージセンサ(以下、CMOS)を採用している。
CMOSよりもCCDのほうが原理的に画質としてはいいものが得られる。S/N比が大きく異なる ── 簡単にいえばCCDのほうがノイズが乗りにくいのだ。
CMOSは構造的にノイズが乗りやすく、そのために色が悪くなることが多い。906iシリーズのカメラ機能を総括しているが、このときも色乗りの悪さが鬼門であった。
特に画像が緑の成分を多く含んでいるときに大きく破綻しがちであるという傾向がある。
なお、多くのデジタル一眼レフにCMOSが搭載されているが、これは素子自体の大きさが圧倒的に異なっており、さらにさまざまな技術を投入してノイズ対策が取られている。
ケータイに搭載されているCMOSとは別物といっていい。
▲各撮像素子の大きさ比較。 |
上図中、緑がマイクロフォーサーズ/フォーサーズで使われている撮像素子、青がAPS-Cサイズ、灰色がいわゆる35mmフルサイズといわれるものだ。
高級コンパクトで使用されることのある1/1.8型が黄色。
赤がSH-01Aに搭載されている1/2.5型CCD、F-01A/N-01A/P-01Aなどで搭載されている1/3.2型CMOSは黒だ。
比較にならない別物であることが分かっていただけるだろう。
もちろん、その一方でCMOSを搭載することにも利点がある。
消費電力が低いことと、転送が速いことだ。
特に消費電力の低さは圧倒的で、モジュラー単位で考えるとCMOSとCCDの差は10倍にも及ぶ場合がある。
そのため、カメラ機能以外のバッテリーライフを大事にしなければならないケータイ電話に次々と搭載されたというわけだ。
ちなみに後者の転送が速いことを活かすためにEX-F1/EX-FH20、PowerShot SX1 ISなどのHDクラスの動画を撮影できるデジタルカメラはCMOSを搭載しているというわけだ。
しかし、CCDを搭載したSH-01Aはケータイのカメラ機能としては圧倒的であっても、やはりコンパクトスタイルのデジタルカメラとの比較は厳しい。
縮小してしまえば目立たないのだが、全体的に解像感が欠けている。
それにはもうひとつ、大きな差異があるためだ。
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