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デジタルカメラレビュー FinePix S5000レビュー(2ページ目)

旧機種では6倍だった光学ズームが10倍になって、FinePixも10倍ズームレンズ搭載機戦線に参戦。最大記録600万画素の性能はいかに?

清水 博之

執筆者:清水 博之

デジタルカメラガイド


●メニューは合格点といったところ
メニューに関してはさほど問題もなく、また際立った使いやすさもない。
基本的には普通によくできたメニュー操作環境だといっていいだろう。

FinePix特有のフォトモードボタンによく使うメニューはまとめられている。
ISOや記録画素数などは簡単に変えられるところは好感触だ。

よく使うメニューは液晶ディスプレイの上にあるフォトモードボタンにまとめられている。
ただし、液晶ディスプレイには若干の問題がある。
というのも、液晶ディスプレイに表示されている画像(いわゆるライブビュー)と、実際に撮影する画像に明確な差異があるのだ。

これは画像エンジンを通してセーブした画像が、ライブビューの色味と異なるために生じた現象であると考えられる。
このこともあって、「撮影画面表示」をセットアップでオフにすることには微妙に問題があると前ページで書いたわけだ。
さらに露出補正をしても、やはりライブビューに変更はない。露出補正した結果も実画像にのみ反映されているのだ。

この問題は最近のFinePix共通の問題であるようだ。
だいたいの傾向をつかむまでは、「撮影画面表示」をオンにしたまま使用して色味・露出の変化を把握できるようにしておいたほうがいいだろう。

●いくつかの不満点も……
その他にもいくつかの不満点が挙げられる。
3Mモードで1枚の画像における平均容量が約780KBと、かなり圧縮率が高い。これは撮影枚数を増やすためには役立っているのだろうが、画像のクオリティという面で不満が残る。
さらにFinePix S5000では圧縮率の変更が不可能な仕様となっている。これにはかなり疑問がある。TIFFなどの無圧縮記録もない。

唯一、CCD-RAWによる記録は可能だが、付属しているソフトではほとんど現像と呼べるような作業ができない(ただ単にTIFFでのセーブができるのみ)。
こういった一眼レフ的なフォルムを持ち、それなりの質感を持っているデジタルカメラが圧縮率の変更ができないという仕様であることは半ば信じがたい。

また、ユーザーが設定できるISOが200からしかない部分も疑問が残る仕様である。
10倍ズーム搭載ということから手ぶれ対策ということもあるのだろうが、ズームを多用した撮りかたをしなければISO50や100が必要となるシーンも多いはずだ。

オートモードではともかく、プログラムモードで撮影するときにはもっと撮影者の意図を反映できる仕様にしてほしかったというのが正直なところだ。
FinePix F410/420のようなコンパクトスタイルのデジカメであればともかく、『コンパクト・ネオ一眼』というコンセプトの元であればそういったモードもあっていいのではないだろうか。

●画質はいわゆるFinePix風味
画質はISOと圧縮率が高いこともあって、軟調気味のチューニングになっている。
特にコンクリートの壁などを撮影したときに質感が失われることが多い。
撮影してきた画像を見て「きびしいなぁ」という言葉が漏れることが何度かあった。

ただ、FinePix F410であったかなり明るい場所でのノイズは軽減されている。
基本的には「いかにもFinePix的」な彩度の高い画像が得られる。
この画像の傾向は好き嫌いがかなり分かれるので、事前にサンプル画像などをよく見てもらったほうがいいだろう。
特にポートレイトにおける人の肌の描写に好き嫌いが大きく出るようだ。

●バッテリーライフはなかなかに優秀
電源は単三電池4本。アルカリ電池、ニッケル水素充電池が使用できる。
アルカリ電池を使った場合のバッテリーライフは、液晶モニター利用で260枚。優秀といえるレベルにあるだろう。

電源はグリップ部に収納される単三電池4本。
また、マクロ撮影が非常に使いやすかったことを明記しておこう。
ファインダー内で7x7の49箇所からピントを合わせるポイントを指定できるため、あわせたい場所にきっちりとピントを合わせることができるのだ。
マクロモードにおいてはわずかなピントのずれが大きなピンボケにつながるので、マクロを多用するユーザーにとってこの機能はかなり使えるものとなるだろう。

●きびきびとした撮影感覚はうれしい
FinePix S5000は基本的にさくさくと撮影できる気持ちのいいデジタルカメラである。
旧機種では6倍だった光学ズームも10倍になり、他社同一クラスと比較しても充分なスペックとなっている。

起動はやや遅くなってはいるものの、起動速度以外のレスポンスは非常に高い。特に暗所での補助光を使ってのAF速度はかなりのものである。
質感も高く、そういった面でもユーザーの物欲を満足させてくれるだろう。

ただし、画質にはFinePix独特のくせがある。これを是とするか非とするかが購入の分水嶺となるだろう。
(Page3 - 実写画像&スペックへ)
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コンパクト・ネオ一眼というコンセプト
・きびきびとした撮影感覚はうれしいが……
FinePix S5000 実写画像&スペック
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