●FinePixが10倍ズームに
●10倍ズーム戦線は大激戦?
FinePixS5000は、富士フイルムが提唱する『コンパクト・ネオ一眼』というカテゴリに属するデジカメである。
ミドルレンジやや上と位置付けられているようで、たしかにその質感などは同じく10倍ズームレンズを搭載するものよりも高い。
なにはともあれ、そのスペックをチェックしてみよう。
レンズは35mm換算で37-370mm。他の10倍ズームレンズ搭載機と同様、F2.8~3.2と明るめのレンズをおごっている。そのためか手ぶれ防止機構は搭載されていない。
300万画素のスーパーCCD ハニカムHRを搭載しているため、最大記録画素は600万画素に及ぶ。
ただ、この600万画素はメモリーカードの容量を圧迫するため、あまり実用的なものとはいえない。
ここぞというようなときにだけ使うといいだろう。
また、シューが用意されていないので、外部ストロボは利用できない。
10倍ズームを屋内で使うときにやや心配な部分ではある。
●スタイリングは上々
前述したようにS5000は一眼レフと同様のスタイルをしている。そのため、大きいボディであると思われるかもしれないが、実は非常にコンパクトだ。
先だってレビューを行ったDiMAGE Z1とほぼ同じ大きさである。
プラスティックのボディでありながら、いろいろと工夫を施して高い質感を保持している。
非常に馴染みやすいカメラ然としたデザインであるとはいえるだろう。
●10倍ズームの力はいかに?
さて10倍ズームの威力を見てみよう。
(クリックで実画像表示・すべてプログラムモード/3Mモードで撮影)
望遠側では色収差(被写体の周りに現れる紫や緑のライン)が出ているが、まあ許容範囲であろう。
このていどであれば、10倍というズームレンズのメリットが上回っているといえる。
それよりも気になるのが軟調なチューニングだ。
また、FinePix S5000では、解像度によって使用できるデジタルズーム倍率が異なるので、併用時には注意が必要だ。
この3Mモードでは約1.4(14倍相当)倍まで。2Mモードで1.8倍(18倍相当)、1Mモードでは2.2倍(22倍相当)となる。
なお、ハニカムCCDによる6Mモードではデジタルズームは利用できない。
●起動時間以外の速度は合格
ざっとスペックを見たところで、使い勝手を見ていくとしよう。
まず、起動時間は約4秒弱。
10倍ズーム搭載機ということを考えても、やや遅めといわざるを得ない。
10倍ズームレンズはそのシステムの制約上、どうしても立ち上がりは遅くなりがちなのだが4秒弱は正直なところきびしい成績だ。
ただし、それ以外の動作はかなりきびきびしており、好印象だ。
オートフォーカス合焦はかなり素早く、ピンずれも少ない。
暗い場所では補助光も照射され、写真を撮るということにおいては安心度が高いといえる。
「撮影画面表示」をオフにした状態での撮影間隔は約1秒。オンにしておくと約2秒といったところになる。
合焦が素早いこととレリーズラグが小さいことがあいまって感覚的にはかなり速く撮影ができる。
さらにストロボのチャージも速いため、連写感覚はかなり快適なレベルを達成している。
セットアップで「撮影画面表示」をOFFにしておくとかなり快適な撮影環境となるだろう(ただし、この設定には微妙な問題がある。詳細は次ページで記述する)。
ズームのワイド端からテレ端までの移動は約2.5秒。これは同クラスの中でもなかなか優秀な成績だ。
また、デジタルズームにはシームレスに移行しないようになっている。
望遠ボタンを押しつづけると一度光学ズームの望遠端で止まり、再度望遠ボタンを押してはじめてデジタルズームに移行するという仕様だ。
メニューの中にデジタルズームの使用を禁止する項目が存在しないが、この仕様がよくできているので問題はないだろう。
次ページではさらにFinePix S5000を使い込んでいくとしよう。
(Page2 - きびきびとした撮影感覚はうれしいが……へ)
・コンパクト・ネオ一眼というコンセプト
・きびきびとした撮影感覚はうれしいが……
・FinePix S5000 実写画像&スペック