●ここまで売れる秘密はなに?
発売以来、爆発的な売れ行きでカシオをデジタルカメラの最前線へと久々に引き上げたEXILIMシリーズ。
本機はその血統をひきつつ、3倍ズームを搭載したEXILIM ZOOMという新シリーズである。
300万画素に3倍ズーム──その特筆すべき薄さはともかく、スペック自体は非常にありふれたデジタルカメラが、ここまで売れたのには何かの秘密があるはず。
その秘密を暴いていこう!
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●EXILIMか否か?
かつて単焦点のEXILIMを使ったことのあるユーザーは、EXILIM ZOOMを手にとった瞬間、かなりの頻度でこう思うのではないだろうか。
「こりゃEXILIMじゃないよ」──と。
筆者のファーストインプレッションもまさにそれだった。
しかし、使いこなしていくと「ああ、これは"EXILIM ZOOM"としてはありなのかなぁ」と思うようになっていった。
まず、なによりも2型の液晶画面が目につく。
実際の表示画素数はさほど多くはないのだが、その大きさだけでもけっこう圧倒されてしまうほどだ。
これだけで大きな売りになるのは間違いない。
このクラスのデジタルカメラの使われかたとして、「こんな写真撮ったんだよ」と友人同士で見せあうというものが大きくある。
そういったコミュニケーションツールとしてのデジタルカメラの在り方を、強く意識して出された製品であると感じた。
特にカレンダー表示機能で日付から写真を選べるところなど、「見せあい」に便利なところにうならされた。
やはり2型のLCDは圧巻だ。多く用いられる1.5型のそれに比べ、面積比で78%増となる。 |
●沈胴式ズームレンズでこの大きさ
EXILIM ZOOMを使っていてまず最初に感じたのが、やはり小ささによる恩恵だ。
さすがにジーンズのバックポケットに入れておくのは座ったときの不安を感じるが、シャツの胸ポケットやコートのポケットに入れておくには充分な小ささだ。
大きさとしてはIXY DIGITALなどと同等であるので、大きなアドバンテージとは言いがたいが、それでも沈胴式の3倍ズームを搭載していてこの薄さはなかなかに感動的だ。
そしてもうひとつ感心したのが、ベストショット機能である。
他のデジタルカメラにもいわゆるシーン別撮影機能という形で搭載されているが、EXILIM ZOOMのそれは圧倒的なまでに数が違う。
通常のシーン別撮影機能ではポートレート、夜景、風景(遠景)ていどである。スポーツ、花火、夜景+人物というようなものが加えられていれば多いほうといえるだろう。
EXILIM ZOOMのベストショット機能には、なんと21種類が搭載されている。
まあ、正直なところ、「この機能は一生使わないんじゃないかなぁ……」というものもないではないのだが。モノクロとか。
ただ、いろいろと使える機能が揃っているのはありがたい。
かなり機能的に絞られた用途に使えるので、試行錯誤して設定を決める必要がなくなるというだけでも、かなり初心者にとってはありがたいといえるだろう。
たとえば『コレクション撮影』などはオークション用の写真を撮るのにぴったりといえるだろう。
初心者向けを意識して作られたことがよくわかるメニュー画面だ。 |
●画質はフツーと呼ぶべきレベル
画質はいまどきの300万画素コンパクトデジタルカメラとして、ごくごく標準的なものだ。
やや、ラチチュードの狭さが気にかかるが、これもこのクラスのデジカメにはよくあることだといえる。
暗部にはノイズが浮き、明部は白飛びを起こしやすい。これは昨今の300万画素デジタルカメラとしてしかたのない部分だと考えてもらっていいだろう。
その中では、EXILIM ZOOMはなかなかに健闘しているほうだろう。
次ページではさらにEXILIM ZOOMを使いこんで見ていこう。
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・EXILIM ZOOMの秘密を探せ!
・売れ筋を詰めこんだデジカメ
・EX-Z3 実写画像&スペック