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デジタルカメラレビュー PowerShot G5レビュー(2ページ目)

あのキヤノンがついに500万画素CCDを搭載したデジタルカメラを発売。PowerShot G5はどのような画像を描き出しているでしょうか? 実写画像は今回100%増!

清水 博之

執筆者:清水 博之

デジタルカメラガイド


●……ちょっと遅い……ですよね?
PowerShot Gシリーズの特徴として、全体的に動作が遅いことが挙げられる。
基本設計が古いせいだろうか、とにかく起動やオートフォーカス、そして再生といった動作が全体を通して遅いのである。

起動時間は約4秒。
正直、昨今のデジタルカメラと比較することは厳しい。
さらにオートフォーカスも同様だ。ハイエンド機と呼ぶにはかなり厳しい。感覚的にはシャッターを半押しして、一拍以上おいてからピントが合焦するという感じだ。

ただし、ピントの精度そのもの自体はかなり高い。
IXY DIGITAL30を使っていてAiAFで9点測距した際には稀にピントを外すことがあったが、PowerShot G5ではまず外すことはない。
ただ、ピントを外していても(合焦していない場合中央の枠がオレンジ色で表示されるのですぐに分かる)、シャッターを押すことはできてしまうのだが。
まあ、これはユーザーの判断にゆだねるということなのだろう。

さらにズームもゆったりとした動きを見せる。撮影していて、「ああ、もうちょっと望遠側に寄せたいな」と思ってレバーを動かすと、半テンポ遅れてズームが始まる感じだ。

また、再生して液晶で画像を見るときの切り替えの遅さは、前世紀の名機E-10のそれを思い起こさせられた。いや、これは誉め言葉ではない。
どちらも極端に遅いのである。
ただ、左右の方向ボタンを押しつづけることで、ぼやけた画像ではあるものの画像を素早く表示することはできる。これがせめてもの救いといえるだろう。

1枚ごとの撮影インターバルはバッファがあるためにゼロと呼べるレベルにある。
スペックでも通常連写で1.5枚/秒をうたっているのはダテではないということだ。
ただし、前述したようにオートフォーカス自体があまり速くないので、それがネックにはなるのではあるが。
なお、バッファがいっぱいになっている状態ではメモリカードに画像が収納されるのを待つ必要がある。だいたい、1枚につき3秒前後というところだろうか。

このバッファでも困ったことがひとつあった。何枚か撮影してバッファに蓄積された画像がある状態では、電源を切ってもレンズが格納されないのだ。
もちろん、これはバッファの消化を優先してるのだろうが……。
レンズが格納されない状態ではレンズキャップをはめられない構造のためにバッファ消化の間、右手にG5、左手にキャップというマヌケな状態で待っていなくてはならなかった。

●液晶ディスプレイでの撮影が基本!
筆者は長くE-10を使っていることもあり、こういったハイエンド機はファインダーを覗いて撮影するのが基本方針だと考えていた。
が、PowerShot Gシリーズはそうではなく、液晶を見ながらの撮影が基本となっているようだ。
なにしろ、ファインダーの中にはなんの情報も表示されていないのだ。わずかにファインダーの横にあるLEDが合焦していない場合に点滅するのみ。

フラッシュのステータスやISOといった情報はもちろんのこと、シャッター速度や露出といった基本情報まで表示されないのだ。
おまけにファインダーの視野率も83%と良好とは言いがたく、さらにズームを広角側にふるとレンズがファインダーの中に見切れてくるという仕様となっている
Gシリーズでは基本的に液晶で撮影するものと割り切ったほうがいいだろう。
このバリアングル液晶モニターを見ながら撮影するのが、PowerShot Gシリーズの基本である。そう割り切ってしまうと、けっこう使いやすい。

とまぁ、ざっと気がついただけの文句を述べるだけ述べてはきた。
では、筆者が使っててPowerShot G5が気に入らないのかというと、実はまったくそんなことはないのである。
文句が多いのはG5がハイエンドデジタルカメラという位置付けにあるからこそ。いわば愛の鞭とでも思っていただければ幸いだ。

●文句をいいつつお気に入り?
まず、速度以外の操作感覚は極めて良好だ。
特にさまざまなパラメーターを変更したいときに、ひとつのボタンにひとつの役割が割り振られているので、非常に操作がしやすい。
また、FANC.ボタンがあることで、ISO、撮影クオリティ、撮影モードなどが集中して変更できる。

たとえばISOを変更するときには他のデジタルカメラであれば、「メニューを起動し、撮影メニューを選び、その中のISOメニューを選択し、変更する」という手順が必要となるが、G5では「FANC.ボタンを押して、ISOのところで十字ボタンを右に押して変更」と、2ステップ以上は簡略化できているのである。
FANC.ボタンは最近のキヤノン製のデジタルカメラすべてに搭載されているが、非常に便利なものだ。また、機種の上下に関わらず似たような操作環境を提供できるという面も大きいだろう。
FUNC.ボタンと右上の十字ボタンの組み合わせはかなり使いやすい。

また、ISOや測光方法、撮影モードなどを記録したカスタマイズ設定がC1、C2という形で2通りにわたって登録できることや、この登録した仕様がダイヤルを回すだけで使えるというのもG5の使い勝手を上げている(これ自体はG3からの仕様ではあるが)。
今回の実写画像では建築物と植物を中心に撮影したが、前者は絞り気味に設定し、後者では絞り優先でシャッター速度を稼ぐことを優先した。

もちろん、撮影で得られる画像も充分に美しいものだった。詳しくは実写画像を見ていただきたいが、曇天の中でもしっかりと色が出ている。
もちろん、不自然に色が強調されているわけでもなく曇天らしさは描写されている。
また、DIGIC搭載機に見られる緑色の描写の鮮やかさはそのままだ。
熱帯植物館での撮影が非常に楽しかったことを付け加えておこう。

●バッテリーライフはギネス級?
また、バッテリーのもちの良さにも感心した……むしろ「こんなにもつのか?」と半ば呆れ気味になったほどだった。
マイクロドライブを搭載した状態で、液晶ディスプレイをオンにしたままざっと500枚ほど撮影したが、バッテリーステータスは変わらなかった。

G5用のバッテリーはD60や10Dといったキヤノンのデジタル一眼レフにも使用されているものだ。ちょっとした撮影をするときにはG5で……という同社のデジタル一眼レフユーザーにとってもバッテリーが流用できていいかもしれない。
もっとも、G5を使っていて予備バッテリーを必要とすることがあるのかという疑問はないではないのだが。

●G3ユーザーにとっては悩ましい存在
PowerShot G5というデジタルカメラはG3ユーザーにとっては、実に悩ましい存在ではないだろうか…というのが、正直な感想だ。積極的に買い換えるほどではないにしても、それなりの魅力を備えている。
特にボディーカラーが黒くなったというだけで欲しいと思うユーザーが少なからずいるのではないだろうか。

もちろん、ハイエンドコンパクトが欲しいというユーザーには充分におすすめできるカメラだ。
ある程度ラフに撮影しても、かなり美しい画像が得られるデジタルカメラであるのは間違いない。
さすがにポケットにぽいっと入れて、撮影に行こう……とはいかない大きさと重さではあるが、ある程度以上のクオリティを求めるのであればかばんのお供にするのも悪くない選択だと思われる。
ただ、動作の緩慢さだけはある程度覚悟しておいたほうがいいだろう。
(Page3へ)
G3を黒くして500万画素にしてみました?
・いろいろ文句をつけてはみたものの…
実写画像&スペック


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