オファーに次ぐオファーで揺れる思い
ワイキキで華やかに働くのか、それとも……。 |
予想もしていないことが起こったという感じの社長からは、待遇やお金の話しが出てきました。怒っているとかではなく、真剣に「まだ何も将来のことについては話してなかったじゃないか、冷静に……」という感じで。肩書きも給与も、それなりのレベルを考えてくれていたのは理解できました。
正直、仕事自体には魅力があったのです。問題はマネージメント。この際だからといろいろとぶちまけてみたのですが、言葉にするとたいしたことがなさそうに聞こえて説得力に欠けるのが残念……。長い時間、話している内に、辞めるという選択に自信が持てなくなってきました。沸々と湧いてくる未練に、自分の覚悟が弱いことに気づいてしまったのです。
その日は保留にしてしばらく考えていると、面接をした会社から返事の催促が来ました。彼らも早く結論を出さないと面接中の人たちがいるので困るとのこと。ここで率直に気持ちの変化を話すと、いきなりお金を積まれます。その辺、とてもアメリカらしい……。
えっ?というような年収を言われて、グラッとしてしまう自分がとても恥ずかしいのですが、ハワイに来てからの貧乏生活を思うまでもなく、それはとても魅力的な額。日本の基準では計れませんが、まあハワイでは生活に困ることのない金額でした。
お金で動くのかと思われたくはないものの、それを自分への評価と受け取れば、自尊心も満たされるというもの。もともと仕事にも会社にも興味があったわけなので、最初の意志通り、やはり退社を決意します。
社長のところへ戻って、あらためて意志を伝えると、今度は給与額を合わせた上で、「バイス・プレジデント」という肩書きをオファーされてしまいました。先日は卒業したらマネージャーと言っていたのに、成り行きでそんなことして後で撤回されないのだろうかと疑いつつも、彼からの意外なまでの評価、必要としてもらっているという実感に、ガツンと頭を殴られたようなショックを受けました。
学生インターンからバイス・プレジデントかぁ……。卒業前で学校も忙しかったので、あえて仕事も1週間休みを取り、じっくりと落ち着いて考えさせてもらうことにしました。
⇒ 次ページでは、いよいよ心を決めます。さて、私はいったいどっちに行くことにしたのでしょう……?