日本の成功をハワイへ導入するために会社設立を決意

ハワイでは駐在として暮らしていた山田さん。日本での有機野菜のことを知るにつけ、ハワイで一般に手に入る野菜のクォリティについて、とても残念に思っていたそうです。

「こんなにすばらしい気候条件にもかかわらず、野菜の自給率が当時は10%程度でした。観光や軍施設に政府の関心も集中し、農業に対する理解が遅れているようにも感じていました。」

ハワイで育った野菜は、高級レストランなどへ卸されることも多く、なかなか一般家庭には届きません。また、有機野菜はとても高価で、気軽に毎食、食べるわけにもいかない値段です。

日本で食べられるようなおいしい野菜がハワイにもあればいいのに…。そんな思いがずっと残っていて、永住権を手にしたとき、日本で軌道に乗り始めたシステムをハワイへ持ってきて、ハワイの人たちの暮らしに役立つビジネスをしたい、と考え始めたそうです。

「ハワイの方にこのお話をすると、皆さんとても力強く賛同しくださって、農業の関係者をご紹介くださったりしてくださいました。今、共同でプロジェクトを進めているIKOH(イコー)のジーン氏も、人の紹介でめぐりあった方です。」

いったん日本に戻り、1年以上にわたってリサーチや準備を重ねた山田さん。ハワイで結婚した奥様と、日本で生まれたお子様を連れて、ふたたびハワイへ戻ったのは、ちょうど2年前。今度は永住目的での渡航でした。

ハワイのNPO「IKOH」との出会い、共同プロジェクト開始

山田さんとIKOHのスタッフ
山田さんとIKOHスタッフ。上段左から二人目がジーン・タマシロ氏
山田さんが今、一緒にプロジェクトを進めているのは、ジーン・タマシロ氏の率いる非営利団体「IKOH(イコー。Invisible Kingdom of Hawaii)」。ハワイ大学内にオーガニック野菜を使ったデリカテッセン「Ono Pono(オノ・ポノ」」を運営するかたわら、オーガニック農場、そして廃食用油を利用した代替エネルギーとして注目されるバイオ・ディーゼル燃料の生成プロジェクトなどにも取り組んでいます。

「私たちのシステムにひじょうに興味を感じてくれたジーンさんは、私と一緒に日本まで渡って、機械を見たり、農場を回ったりして、大いに刺激を受けられたんですね。はるかに進んだ日本の農業の技法を、ぜひハワイに持ってきて広めたい、とおっしゃってくれて、私にとっては力強いパートナーが生まれたというわけです。」

液状有機肥料を作る機械の共同導入も決定し、今はその到着を待つばかり。ワイマナロにある農場は、実験的要素も多分にあり、また、教育素材として、コミュニティに有機農法の重要さや、有機野菜のおいしさについて啓蒙する目的もあるそうです。

山田さんとIKOHのスタッフ2
山田さんとIKOHスタッフとは同じ思いを共有する仲間。最新の農業技法の話題で盛り上がる
「彼らの活動は、ハワイの農業の今後にとって、とても大事なものだと思っています。ジーン氏さんはもともとミュージシャンでもあり、仲間からもとても信頼されています。理解者もとても多く、ワイマナロの農場を舞台に、レゲエ・コンサートをしたこともあるんですよ。基金活動のひとつとして(笑)。」

なんと400人も集まったというコンサートは、しかしあまりにも注目を集めすぎてしまい、現在は自粛中。新たな場所と機会を探しているとか。とても真摯な姿勢のパートナーにめぐり合えて、山田さんも心強そうです。

余談ではありますが、ジーン氏の奥様は、このプロジェクトを山田さんが始めることで通訳をお願いした日本女性。沖縄からの移民の子孫であることから、自らも日本人のアイデンティティを意識しているジーン氏。日本の旅行者や、在住日本人とのふれあいの機会も、今後は増えていくかもしれません。

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