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京の暮らしとおばんざい

京都には、何の日には何を食べる、という決まりがたくさんあります。一見面倒なように見えて、実はとても合理的。しきたりを守る古めかしさは、リーズナブルな食生活を送るための知恵。

執筆者:桜 美香

京都では、日常のおかず、のことを「おばんざい」と言い、「お番菜」とも書きます。“番”という文字に“ある語に冠して常用、粗末、の意を表す語” という意味があることからお番菜が日常のおかず、であることが分かります。
千年の都京都では、宮中料理、精進料理、懐石料理など、いわゆる「ハレ」の料理の歴史は長く、それまで上層階級のものだった京料理は江戸時代の中頃、町人の暮らし向きがだんだん豊かになるころに少しずつ広まって日々の暮らしの中でこなれ、「おばんざい」になっていたようです。

さて、そんな京都には何の日に何を食べる、という決まりがたくさんあります。おついたちにはにしんこぶ(ニシンを干した身欠きニシンと刻み昆布)をたいて、小豆ご飯とおなます。
8のつく日にはあらめ(海藻)とお揚げの炊いたん、15日にはまた小豆のご飯を炊いていもぼう(棒だらとえびいも(里芋))のおかずに。何かしら忙しく、お財布の中も空の月末にはおからをたくさん炒ります。「炊く」と言わず「炒る」というのはお金が「入る」ように、、と縁起をかついだ、とも言われています。
その他にも、季節の行事の時のおかずも決まっています。
これらは一見わずらわしいように見えて、実はその日は決まった献立に沿って作ればいいわけで、献立を考えることなく済みます。
台所を預かる女性がどれだけ日々のご飯作りに気を遣うか、、それは今も昔も変わらないことのようで、合理的な暮らし方の方法であったことが分かります。

京都に引っ越してきてすぐのころ、毎週のように図書館に通って「京都のおばんざい」について調べ、この決まりごと通りに献立をてて過ごした時期がありました。野菜に旬がなくなっている昨今、季節の移り変わりを食卓で感じることができ、身体にもいいとても合理的なしきたりだと思います。戦前まではどのおうちでも、このしきたりをきっちりと守っていたそうです。

下でご紹介する鯛かぶらは、おばんざいの中でもごちそうの部類に入ります。おいしく作るために、是非おだしをきちんと取って、作ってみてくださいね。上品なかつおのおだしよりも、素朴ないりこだしの方がこのお料理には合います。

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**冬の定番おばんざい 鯛かぶら**

**材料(4人分)

・聖護院かぶら 1/2個
・たいのあら 1尾分
・だし 2カップ
・しょうゆ 大さじ2
・酒  大さじ2
・みりん 大さじ3
・ゆずの皮 適宜

**作り方

1)鯛のあらは熱湯をかけて冷水にとり、うろこなどをきれいにとっておく。

2)かぶらは皮を厚めにむいて3~4cm角に切り、米のとぎ汁で下ゆでし、水洗いして水にさらしておく。

3)鍋にかぶらと鯛のあらを入れ、だしと調味料を加え、落としぶたをし、ゆっくりと煮る。盛りつけてから、ゆずの皮の千切りをたっぷりと散らす。

**Point
聖護院かぶらは、子どもの頭くらいの大きさのとても大きなかぶら。 重さは2キロ~3キロあり、京都のお漬物で有名な「千枚漬け」 の材料として有名です。煮物にするととても柔らかくなり、京を代表する冬野菜。鯛かぶらの後の残りの煮汁で京菜、壬生菜などの旬の野菜をさっと炊くのもおいしいです。

**BGM
C.Debussy
Reverie
(C.ドビュッシー「夢」)

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<関連サイト>
・京野菜の知識(Kyo-Yasai
・京野菜のネット通販(京野菜 錦 川政

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。

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