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ジャンボ機を操縦する~vol.2(2ページ目)

「テイクオフ」。機長は短いコールを送り、4本のスラストレバーを静かに押し出します。エンジン音が急激に高まり、機体はゆっくり滑走を始めました。『ジャンボ機を操縦する』第2弾は──離陸!

執筆者:秋本 俊二

■V1
速度計の示す数値がV1に達しました。

離陸決心速度・V1は機種や機体の重量などによって変わり、ジャンボ機では通常、国際線を飛ぶ重量であれば140~170ノット(時速約259~315キロ)程度になります。速度がV1を超えると、もう滑走路上に停止することはできません。たとえエンジン1基が壊れようと、離陸を中止することはない。減速して止まろうにも、滑走路の長さは限られ、滑走路端から飛び出してしまう危険があるからです。

何らかの故障が生じても、V1を超えている場合は故障したまま離陸・上昇し、上空で空港に引き返すかどうかを判断するというのが離陸時のルールになっています。

■ローテーション
副操縦士から「V1」のコールがあると、機長は右手をスラストレバーから離し、両手でしっかりと操縦桿を握りなおします。その操縦桿の感触や機体の振動具合から、パイロットたちは「そろそろ浮くぞ」というのを本能的に感じ取るらしい。

速度はさらにアップし、VR(機首引き起こし速度)に達しました。

ローテーション!」

副操縦士のコールを合図に、機長は操縦桿を静かに手前へ。その瞬間、機体のノーズがぐいっとリフトアップ。さらに15度ほどのピッチになるまで操縦桿をゆっくりと引きます。身体に感じていた振動がふっと途絶え、車輪の回転音が消えました。地上から離れた瞬間です。

つづいて副操縦士から、安全上昇速度である「V2」のコール。機体はもう完全に滑走路から飛び立っています。

ギアアップ」――機長のオーダーに応え、副操縦士がギア操作レバーを「UP」の位置に。床下でギューン、バタンという音が響き、ギアが完全に収納されました。

機体は高度約3万フィートの上空をめざし、どんどん上昇していきます。
(次回へつづく)

【関連リンク】ジャンボ機を操縦する~vol.1
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