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競争が激化する旅行サービスの行方は?

今、ネット上では旅行予約サービスの競争が激化しています。JTBなどの旅行会社サイトと楽天、Yahoo!などのネット専業サイト。今後、多くのユーザーを獲得していくのはどちらのサイトなのでしょう?

水上 浩一

執筆者:水上 浩一

インターネットサービスガイド

まもなくゴールデンウィーク。予約をすませている方もいれば、これからあわてて決めようという方もいるかと思います。ところでみなさんはどのようにして旅行情報を集めましたか?

先月9日にWebマーケティングガイドが行った調査によると、 90.8%の人が旅行の情報収集にインターネットを使うという結果が出ています。

そして参考にするサイトとして挙げられているのは、Yahoo!などのポータルサイトの旅行ページが最も高く、次いで旅行専門サイトやホテル、民宿などのサイトとなっています。最近では個人のサイトやブログ、SNSなどを参考にしているという人も増えてきているようで、フォートラベルのように口コミを元にした旅行情報コミュニティサイトも人気を呼んでいます。

ネットでの旅行情報の入手や宿泊予約は、以前とどう変わったのでしょう? また今後、どうなっていくのでしょう? カギは50代~60代の利用にあるようです。

境目がなくなる旅行会社サイトとネット専業サイト

ネットレイティングス調べによる2006年7月度の利用者数
ネットレイティングス調べによる2006年7月度の利用者数
従来、海外旅行に強い旅行会社サイト、国内・ビジネス需要に強いネット専業サイトという形で、利用するユーザーのすみ分けができていました。そのため旅行会社はネットでの販売をあくまでも店頭販売の補完として利用する傾向があり、ネットでの販売にあまり大きな力を注いでいませんでした。

販売形態においても、旅行会社サイトは自ら客室を仕入れ、企画した宿泊商品をネットで販売しているのに対し、ネット専業サイトはホテルや旅館にサイト上の場所を貸して、独自にプランや価格を設定した宿泊商品を販売することで、それぞれの特色を出していました。しかし昨年以降、この均衡は少しづつ崩れ始めています。

ネット上での旅行サービスの変化

近畿日本ツーリストは、今年1月から楽天トラベルYahoo!トラベルと同様にホテルや旅館に場を提供するタイプの国内宿泊予約サイト「ステイプラス」をオープンしました。また、JTBは海外旅行販売の強みを生かし、ダイナミックパッケージと呼ばれるサービスを今年2月20日から開始しています。

※ダイナミックパッケージとは?
通常のパッケージツアーとは違い、飛行機、ホテル、現地での行動など全てを自分で設定できる自由度の高いパッケージツアーサービス。日本ではまだ一部のネット専門旅行サイトしか販売していない。

他にも、今年2月には阪急交通社がQ&Aページにワンクリックで移動できるボタンを配置したり、同社が配信しているメールマガジンをRSS経由で自動閲覧できるようにした独自のブラウザ「TB-8」をリリースするなど、旅行会社も本格的にネットでの販売に力を入れ始めています。

これに対しネット専業サイトでは、昨年10月24日より全日空と楽天が共同出資で設立した楽天ANAトラベルオンラインによる国内旅行専門のダイナミックパッケージサービスANA楽パックを開始、同じネット宿泊予約サイトのじゃらんもJALと提携し、今年5月よりJALダイナミックパッケージの販売を開始すると発表しています。

さらに高級旅館、ホテル予約では一休.comの独壇場でしたが、最近ではJTB、 Yahoo!トラベルなどが相次いで高級旅館、ホテル予約サービスを開始。また近畿日本ツーリストは、店頭で配布しているパンフレットにQR コードを入れ、携帯電話経由で予約から決済までを行える「カシャ旅予約」を始めるなど続々と関連サービスが増えています。

ユーザの需要をいかに取り込むかが勝負の分かれ目

今年2月6日付けの日経産業新聞によると、楽天トラベルの2005年度の取扱額は1,429億円と、前年より26%も増加し、2006年以降も順調にその額を増やしています。さらに昨年7月のネットレイティングス調べでも、国内ネット利用者全体の55%が旅行サイトを利用し、利用者数も前年から330万人増となっており、市場は着実に拡大してることがわかります。

これらのことがJTBや近畿日本ツーリストなどが今まで以上にネットでの旅行販売に力を入れ始めた要因となっているのでしょう。

それぞれの強みを生かしたすみ分けがなくなったことで、今後、ネットでの旅行販売競争は今まで以上に激化することが予想されます。ネット販売において一日の長があるネット専業サイトか、それとも企業規模の大きさを生かした旅行会社か。ユーザーの需要に、より的確なサービスを提供できるかが勝負の分かれ目になるでしょう。

<次ページでは、CGMを生かした旅行サービスと今後のネットでの旅行について見ていきます。>
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