実は、同町ではITを導入する前に、野山に生えている葉を、そのままパッキングしたものを出荷して、まったく売れなかったという失敗をしている。
これでは、商品としての価値を生みださない。大きさや品質をチェックするという工程が必要なのは、他の農産物と同じだ。
そこで、料理人にどんな「つま」であれば、使ってもらえるのかを尋ね、売れるつまものを研究していった。商品の規格統一をすることで品質が向上、つまものの売上も伸びていった。
その規格・品質について、システムを介して生産者に伝えることができる。また、細工物を加工する際の手順もシステムで公開しているので、これを見ながら作り方を学べる。
受注や出荷予約もでき、効率的に商品を調達することが可能になった。市場動向を読みながら、最適な時期(価格が高い時期、品不足で値段が高騰している時期)に出荷するという判断が生産者はできる。
また、昨年の商品市場動向を見ながら、出荷計画をたてられる。例えば、桜のつまものは、季節前のほうが付加価値がつく。そのため、開花時期に出荷するのでなく、早めに桜をつくるといった具合だ。
出荷作業にはバーコードが利用される。これにより作業時間が30%改善された。
さらに、上勝町以外でつまものを生産しているサテライト産地との連携もシステムを介して可能だ。
同じ商品であっても、季節によって出荷可能な時期が産地によって異なる。市場に安定供給ができることがサテライトを持つメリットとなっている。また、上勝で収穫できない熊笹、柊なでの生産地とも協力している。
◆ IT化の促進に必要なこと
つまもの市場は、現在、右肩上がり。商品の種類も消費者からのリクエストにより、年々増加している。市場のパイが確実に大きくなっている成長性のある市場だ。
最後に、農業産地や生産者が情報システムを活用することについて、齋藤氏に尋ねると次のように答えてくれた。