ScanSnap S300の機能を生かす
ここまでのスキャン機能は、ScanSnap S510など他のドキュメントスキャナと同じで特に目新しい点はないが、ScanSnap S300の利点は前述したように、小型の本体とUSBバスパワーで駆動するという点だ。
設置面積自体も小さくなり、S510の2/3程度で、設置場所に困る場合にも良いが、なにより持ち運びやすいため、出張先に持ち運ぶような使い方も可能だ。
本体の重量は1.4kgで最近のB5ノートなどに比べると軽いとは言えないが、両面スキャナとしては非常に軽量だ。大きさもスキャナとしては小さいが、厚みが77mmあり、B5ノートなどの2~3倍ある点は残念。薄いビジネスバックなどに入れて持ち運ぶ場合は不便だが、泊まりがけの出張などで使うようなサイズの鞄なら十分収納可能だ。
会議などで大量の紙の書類が配られることも多いが、紙の書類をその場でスキャンすることで、重い紙を持ち運ぶ必要が無くなる。特に出張などで、帰りの荷物が増えるのはつらい物で、書類の場合、帰りの電車や飛行機内で確認するためだけに持ち運ぶのもつらいだろう。そんな時に、紙の書類は別送し、ノートパソコン一台でデジタル化したデータをいつでも確認可能になるのはかなり便利だろう。(そもそもデジタルデータで内容を配布して欲しい物だが)
ScanSnap S300のACアダプタとUSB電源ケーブル。 |
USBバスパワーではあるが、スキャナとして使用するUSBケーブル以外に、専用のケーブルが必要となり、PC側にUSBポートが2つ必要で、USBバスパワー自体のメリットは少ない。
ACアダプタ自体小型のため、あまり邪魔にならないため、持ち運ぶ場合でもACアダプタを使用するのが無難だろう。どうしても荷物を減らしたい場合にのみUSBバスパワーを使うのがいいかもしれない。
紙の供給性能に関しては、S510などの使用経験がないためわからないが、今回の試用で数百枚試した中では、A4のまとまった書類の場合、紙も同じ物が使われるので特に問題はなかった。
問題があったのは名刺の方で、さまざまな会社の名刺をまとめてスキャンしようとすると確実にミスが発生する。名刺をスキャンする場合は、同一種類の名刺をまとめたり、少ない枚数で読み取るのがよいだろう。
海外の妙に細い名刺も、縦ではなく横方向で読み取り可能で、最近ブロガーなどで人気のMOOのMiniCardももしかしたら読み取れるかもしれない。
自分で買うならS510
いろいろと使ってみたが、S300は設置面積も小さく、持ち運べるのが便利だが、個人的には持ち運ぶスキャンするような用途はあまりない。また、セットできる紙の量もS300は10枚の所、S510は50枚と5倍で、大量の紙書類をスキャンする場合は、セットする手間が省けて良い。
実際にドキュメントスキャナを使ってみると非常に便利であり、冒頭で書いたように、大量の書類をスキャンしたいため、個人的に買うなら価格は高いがS510を選びたい。
もちろん、他のドキュメントスキャナを使用している方がサブ機として使う場合、試しに導入してみたい場合、スキャンの量がそれほど多くない場合などにはS300は価格も安く機能も問題ない。十分におすすめできる製品だ。
それにしても、カラーの書類で1ページ1MB程度の容量は、1000ページ程度のカラー資料も1GB程度で収まる。
両面印刷したとしてもA4の書類500枚が1g未満で2000円以下で購入できるMicroSDに収まってしまう。読みやすさでは紙の圧勝だが、検索性の良さと利便性はデジタルデータの方が断然上だ。便利な時代になった物である。
参考データ:
ScanSnap S300使い、1時間休まずエクセレントでさまざまな書類をOCR付きで読み取った時の書類量。
約90ページ、容量80MB (紙の厚み2.2cm程度)
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[上倉 賢]