IBMのパソコン部門がLenovoに移って2年。第三世代ThinkPadへの移行も順調で、リーズナブルなLenovo 3000シリーズもラインナップに加わるなど、同社のパソコンビジネスは順調のようだ。
そのLenovoの開発拠点となっているのが、神奈川県の大和市、アメリカのノースカロライナ、中国の北京だ。同社はこの3拠点を3大イノベーションセンターと位置づけている。
その中でも、大和研究所はIBM時代からThinkPadなどノートパソコンの開発拠点となっており、同社のハードウェア技術の中心だ。
先日、大和研究所の製品試験室が一部公開されので、ThinkPadがどのような試験を経て製品化されているのか紹介したい。
レノボのイノベーションを語る石田執行役員 |
ThinkPadのテクノロジ
試験室の公開に合わせ、最新のThinkPadに使われているテクノロジも紹介された。
2005年後半からリリースされている、第三世代ThinkPadにはThinkPad Roll Cageと呼ばれる、筐体剛性を高める技術が使われている。これは、マグネシウム合金製の骨格に各種デバイスを固定し、さらに外装をプラスチックなどで覆う物だ。
先日発表されたThinkPad T61では、本体部分だけではなく、液晶パネル部分にもThinkPad Roll Cageが使われた。
液晶パネル部分は、無線関連のアンテナが組み込まれており、単純にRoll Cageを採用しただけでは無線の感度が減少してしまう。今回、Roll Cageと無線アンテナの配置を最適化したことから無線にも影響していないという。
実物を見るとわかるが、Roll Cageに各種アンテナが取り付けら、これにプラスチックのカバーをかぶせるという構造だ。液晶パネル部分一つみても、さまざまな技術が使われていることがわかるだろう。
ThinkPad T61のロールケージとThinkPad X61の薄型冷却ファン |
さらに、ThinkPad関連ソフトウェアであるThinkVantage Technologyも紹介された。
ThinkPadには、ボタン一発で起動するThinkVantageソフトウェアが組み込まれている。機能も豊富で、データ移行、セキュリティ、ワイヤレス、データ保護、ユーザービリティなど多岐にわたっており、
例えば、
プレゼン用にプロジェクタに接続する際も、一発で外部出力に切り替え、さらにスクリーンセーバーの機能を自動で停止する。
無線LANアクセスポイントへの接続も、Windowsの管理画面に行くことなく、一発で切り替える。
など、ノートパソコンで必要な機能が簡単に実行できるようになっている。
特に、セキュリティ関連機能はかなり高度で強力だ。
個人的にも、かなりハードに使用した(何度も落とした)古いThinkPadで経験したことがあるが、HDD関連でパスワードや暗号化をやりすぎると、万が一故障してThinkPadが故障したときに、本人ですらデータを取り出せなくなるほど。(データを取り出すには修理するしかない)
Lenovoによれば、品質自体、年々向上しており、故障率なども年々下がり、修理日数も短縮しているとのことで、何もしていないのに壊れたと言うことは無さそうだが、万が一壊してしまった場合には注意したいくらいセキュリティ機能は強力だ。
今回公開されたのは、Lenovoのサイトにある品質テストのいくつかの試験だが、写真を見てわかるように、いくつかの部屋はかなりコストのかかりそうな広大なスペースを使用している。
これらの試験を経て製品化されるThinkPadは、高品質に違いないと確信できる物である。
6月7日現在、筆者の環境ではLenovoのサイトにある動画は再生されない。