この自主回収の原因は
通常使用状態
パソコンのリチウムイオンバッテリパックは簡略化すると図のような構造をしており、安全に使えるように制御回路でバッテリセルをコントロールしている。
リチウムイオンバッテリは、リチウムなどさまざまな物質が使われており危険だが、バッテリパック内の制御回路はもちろん、バッテリセル内でさまざまな安全対策をし、多重の安全対策がなされている。
バッテリセルに不都合発生
バッテリセルに不都合が発生した場合、制御回路がそれを検知し、自動的に充電を停止することで発火することはない。
バッテリセルと制御回路に問題があると発火
充電回路がバッテリセルの不都合を検知出来ない場合、そのまま電気が流れ、バッテリが発火したりする可能性がある。
SONYの対応遅れ
SONYの説明によれば、バッテリセルに問題があっても制御回路が本来の働きをすることで、発火に至ることはないとしている。
しかし、バッテリセル自体に金属粉が混入したことは事実であり、リチウムイオンバッテリにそのような不純物の混入はあってはならないことだ。常識的な品質管理をしていれば、その時期に製造されたSONY製バッテリセルはすべて不良品ということになる。また、制御回路など多重の安全対策がなされているとはいえ、その一つでもその安全対策が無効になれば発火などの発生確率も高くなる。
食品では、そのもの自体に問題が無くても不良があれば全品回収することが基本で、多くの企業がそのような対応をしている。パソコンの場合でも死者が出ることが予想できる不都合があるなら、技術的にどうであろうが真っ先に交換するのが企業としては当然の行動だ。
一ヶ月ほど遅れたとは言え、ようやく重い腰をあげたのは一応の評価が出来るが、いまだに技術的には問題ない事を主張し後手後手の対応しか出来ていない。今回の対応ではSONYの企業イメージ低下は避けられないだろう。
[上倉 賢]