Aさんは40代後半に、「保障もついてお得ですよ」とすすめられた一時払い終身保険に加入しました。数年後、車の買い替えでまとまったお金が必要になり、解約を検討することになりました。今回は、一時払い終身保険と定期預金を比べながら、Aさんが学んだ「お金の目的を分けて考えること」の大切さを紹介します。

「保障もついてお得」という言葉に惹かれて
Aさんが一時払い終身保険に加入したのは、40代後半のことでした。
銀行の窓口で、「まとまったお金を預けるなら、保障もついて、長く置いておけば定期預金より増える可能性がある商品がありますよ」とすすめられたのがきっかけです。
一時払い終身保険は、契約時に保険料を一括で払い込み、一生涯の死亡保障を確保する保険です。商品や契約条件によっては、一定期間保有することで、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を上回る場合があります。一方、契約から間もない時期に解約すると、解約返戻金が払込保険料を下回ることがあります。
「保障もついて、お金も増えるなら一石二鳥」と感じたAさんは、それまでに貯めてきたお金の一部をこの保険に入れることにしました。
数年後、車の買い替えで気付いた「使いたいお金」
契約から数年がたったころ、Aさんは車の買い替えを考えるようになりました。まとまったお金が必要になるため、「以前、一時払い終身保険に入れたお金の一部を使おう」と考え、保険会社に解約した場合の返戻金を確認しました。
すると、加入からまだ数年だったため、解約すると返戻金が払い込んだ保険料を下回ることが分かりました。
「数年後に使うかもしれないお金まで、長く持つことを前提とした保険に入れてしまった……」と。Aさんはここで初めて、お金をどのくらいの期間使わずに置いておけるのかを考えたうえで、商品を選ぶ必要があることに気付きました。
「定期預金だったら?」と考えてみる
もし同じ金額を定期預金に預けていたらどうだったか。Aさんは改めて考えてみました。
定期預金も満期前に中途解約すると、当初の約定金利より低い「中途解約利率」が適用されます。ただし、円建ての一般的な定期預金では、中途解約したからといって預入元本そのものが減るのではなく、受け取る利息が少なくなるのが基本です。
「数年後に使う可能性があるお金なら、こちらのほうが扱いやすかったかもしれない」
Aさんは、金利だけでなく、そのお金をいつ使う可能性があるのかまで考えて置き場所を選ぶことが大切だったと振り返ります。
「使うお金」と「残すお金」を分けて考える
一時払い終身保険には、一生涯の死亡保障を確保しながら、解約返戻金を受け取れるという特徴があります。一方、早い時期に解約すると、払込保険料を下回ることもあります。
近い将来使う可能性のあるお金を、長期間置いておくことを前提とした商品にまとめてしまうと、必要なときに使えない、使いにくくなることがあります。
Aさんは今回の経験から、車の買い替えなど近い将来使う可能性のあるお金は預貯金などで確保し、長く使う予定のない老後資金については、保険など別の方法を検討するようになりました。
40代・50代は「老後」と「目の前の支出」の両方を考える
40代・50代になると、「老後のためにできるだけお金を残しておきたい」と考える一方で、リフォームや自動車の購入、子どもの学費など、まとまった支出が発生することもあります。
そのため、まとまったお金を一つの商品にまとめるのではなく、「いつ使うお金なのか」を考えて、置き場所を分けることが大切です。
結局Aさんは、加入していた一時払い終身保険を「将来、家族に残すお金」と考えて、そのまま保有することにしました。車の購入はしばらく保留し、買い替え資金は預貯金であらためて準備することにしました。
このような事態を避けるためには、老後のために残しておきたいお金、数年後に使う予定のお金、万一に備えておきたいお金など、それぞれの目的と使う時期を整理して、置き場所を考えるとよいでしょう。







