普通預金でも年0.5%の時代へ
筆者が金融業界に入ってから長い間、日本では「銀行にお金を預けても、ほとんど利息がつかない」という状態が当たり前でした。

その感覚が残っている人は多いのではないでしょうか。私自身、銀行から利息が入っていても、金額を見て「これだけか」と思うことが何度もありました。
ところが、状況はかなり変わってきました。
三菱UFJ銀行の円預金金利を見ると、2026年9月時点で普通預金は年0.4%、1年もの定期預金は年0.5%、3年は年0.8%、5年は年1%、10年は年1.25%となっています。
その後、9月18日に日本銀行(日銀)が政策金利を1.25%へ引き上げると、三菱UFJ銀行は普通預金金利を年0.4%から年0.5%へ引き上げると発表しました。新しい金利は11月2日から適用されます。
また、三井住友銀行、みずほ銀行も普通預金金利を年0.5%へ引き上げる方針を発表しています。大手銀行の普通預金でも年0.5%の時代がやってくるわけです。
100万円を1年間預けたら、どれくらい違う?
では、金利の違いを100万円で考えてみましょう。
普通預金金利が年0.4%なら、100万円を1年間預けた場合の利息は税引前で4000円です。年0.5%なら5000円になります。
わずか0.1%の違いですが、100万円なら年間1000円、500万円なら5000円、1000万円なら1万円の差になります。
預金利息には20.315%の税金がかかるため、100万円を1年間預けた場合、年0.4%なら税引後約3187円、年0.5%なら約3984円、年1%なら約7969円です。
100万円では、それほど大きな違いに見えないかもしれません。
しかし、1000万円なら、年0.4%で税引前4万円、年1%なら10万円。金利差0.6%で、1年間の利息に6万円の差が出ます。
超低金利の時代にはあまり考える必要がなかった「どこに預けるか」が、再び家計に影響するようになってきたのです。
銀行によって預金金利に差が出ている
もう1つ注目したいのが、銀行による金利の違いです。2026年9月時点では、大手銀行より高い預金金利を設定している銀行もあります。普通預金で年0.6~0.7%台、1年定期では年1%を超える商品もあり、条件付きのキャンペーンでは年1.5%を超えるケースも見られます。
例えば100万円を1年間、年0.5%で預ければ税引前の利息は5000円です。一方、年1.5%なら1万5000円。その差は1年間で1万円です。500万円なら5万円、1000万円なら10万円の差になります。
もちろん、キャンペーン金利には新規口座開設や新規資金などの条件が付くことがあります。「金利が高い」という数字だけで決めず、適用条件を確認する必要があります。
それでも、「預金ならどこの銀行でも大して変わらない」と考えていた時代とは明らかに変わってきました。
政策金利1.25%なら、預金金利も1.25%になる?
ここは勘違いしやすいところです。日銀の政策金利が1.25%になったからといって、普通預金金利も自動的に1.25%になるわけではありません。
三菱UFJ銀行は今回の利上げを受け、普通預金金利を年0.4%から年0.5%へ引き上げますが、政策金利の1.25%とは差があります。
銀行は日銀の政策金利だけでなく、市場金利や資金需要、他行との競争などを見ながら預金金利を決めています。
一方、期間の長い定期預金では、すでに1%を超える金利も出ています。三菱UFJ銀行では2026年9月時点で5年定期が年1%、10年定期は年1.25%です。
今すぐ長期の定期預金に預けるべき?
ここで悩ましいのが、「これだけ金利が上がったのだから、5年や10年の定期預金にしてしまった方がいいのでは?」という問題です。
例えば100万円を年1%の5年定期に預けたとします。その後、5年定期の金利が年1.5%になれば、年率換算した税引前の利息差は5000円。5年間なら単純計算で約2万5000円の差になります。
反対に、今後金利が下がれば、年1%を5年間確保したことが有利に働きます。
ただし、定期預金は満期前に解約すると、通常は当初の金利ではなく期限前解約利率が適用されます。金利だけを見るのではなく、「そのお金を何年間使わずに置いておけるのか」も考える必要があります。
私自身、20年超、金融市場を見てきましたが、日本では「預金金利がもっと上がるかもしれないから、長期の定期預金に入れるのを待つ」ということを、ほとんど考えなくていい時代が長く続きました。
いまは、その常識を変える必要があります。金利上昇中は、手元のお金を一度に5年、10年と固定せず、普通預金や短めの定期預金にも分けておく方法があります。次に金利が上がったとき、そのお金をより高い金利で預けられるからです。
これからは「預金ならどこでも同じ」と考えないことです。
100万円なら金利差は小さく見えても、500万円、1000万円となれば違いは無視できません。銀行名だけでなく、「何%なのか」「何年間預けるのか」「途中で使う可能性はないか」まで確認してから預ける。金利のある時代には、そんな預金の基本が再び大切になっています。
なお、一般預金等は、1金融機関につき預金者1人当たり元本1000万円までと、破綻日までの利息等が預金保険制度(ペイオフ)で保護されます。1000万円を超える資金を預ける場合は、この点も確認しておきましょう。
※預金金利は2026年9月時点の各金融機関の公表金利を参照。三菱UFJ銀行の普通預金については、9月18日に年0.4%から年0.5%への引き上げが発表され、11月2日から適用予定です。預金金利やキャンペーン金利は今後変更される場合があります。利息には20.315%の税金がかかり、試算額は概算です。







