
厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計」によれば、「妻が年上」の初婚夫婦の割合は、結婚した夫婦の25%以上に達し、過去最高を記録した。
長い間、結婚は男性の方が年上というのが当然だった。それだけの経済力と包容力がなければ家庭は維持できない側面もあるだろう。男性は「自分が御しやすい若い女性に自分の子を産んでもらい」、逆に女性は「男性の経済力、および判断力に頼って生活する」のが普通だった。だが、男女の意識も社会も変わった。
8歳年下の相手と付き合うことに
30歳の頃から結婚を意識しながら生きてきたというマチさん(40歳)。恋愛するなら年上と決めていたのだが、その意識が変わったのが35歳のとき。付き合った相手は8歳年下だった。
「ものすごく落ち着いていたから、それほど年下だと思わなかったんです。いざ付き合おうということになったときに初めて明かされて。いやー、私が高校を卒業するとき小学校4年生だったわけかと思ったら、無理でしょと。でも彼は熱心でした。とにかく付き合うだけ付き合ってダメなら別れればいいんだからと押し切られました」
ごく普通にデートを重ねた。映画も音楽もカラオケも、世代の違いは明らかだったが、それが不思議と不快ではなかった。
「私が青春時代の思い出の曲を歌うと、彼は『このころ、どういうことにはまってたの?』『将来、どうしようと思ってた?』など個人的興味で突っ込んでくる。年代がどうのということではなく、私という人間にとにかく関心をもっている。それが分かったのでかえってうれしかったですね」
夫に「男のプライド」はない
マチさんも、彼という人間そのものに興味をもった。年齢差は気にならなくなった。互いの心の距離が近づいたとき、彼は自分の友達にも彼女の存在をオープンにした。年齢のことは別に言っても言わなくてもいい、あなたが思うようにすればいいと彼は言った。
「結局、彼の友達には言えなかった。付き合って1年で結婚を決め、双方の友達に初めて年齢差を明かしたんですが、誰も驚かなかったですね」
結婚を決めたのは、彼の「こだわりのなさ」だった。男はこうすべき、女はこうすべきという考えがない。それどころか「40代は40代らしく」などという年齢へのこだわりもない。いくつになっても着たいものを着て、やりたいことをすればいい。互いに相手の生き方を助け合えたら最高じゃない? という彼の考え方に「甘い」とは思ったが惹かれたという。
「結婚して子どもを産んで、今は家族3人で暮らしています。もちろん共働きで、家事は若干、彼の方が分担が多いけど、互いに得意なことを優先させてやっています」
マチさんは料理は好きだが片づけが苦手、彼は掃除や片づけが得意なのだそう。「自分らしさを大切に」という彼だから、「昔ながらの男のプライド」などはいっさい持っていない。だから一緒にいて楽だとマチさんは言う。
2歳差だけど
「うちは2歳、私の方が年上なんです。最初は2歳差なんて、年の差に入らないと言っていた夫だけど、結婚生活が長くなるにつれ、『やっぱり年上は』なんて言うようになった。私を変にライバル視するようになったんですよ」
職場恋愛から結婚に至ったユリさん(39歳)はそう言ってため息をついた。彼女は院卒で、彼とは同期だったので仲間意識が強かったのだが、あるとき彼から付き合ってほしいと言われた。
「私は年齢差なんて気にしていなかったけど、彼は『僕は年上が好きなんです』とアピールしていました。思えばあのころから、彼の方が気にしていたのかもしれません」
彼は旧態依然とした「男のプライド」を持っているタイプだった。共働きでなければ暮らしていけないのに、「きみが仕事をしすぎるのはどうかと思う」と言ったり、子どもが生まれたあとも「母親の愛情が全てだからね」と母親の役割を押しつけられたりした。
別居を考えるように
「なんだか一緒にいると息苦しくなってきて。一人娘は5歳ですが、家事も育児もワンオペ状態。時々実家の母に手伝ってもらっていますが、夫は母にも優しくない。『大人なんだから親に頼らない方がいいよ』って。あなたが何もしてくれないから母に頼るしかないと言ったらプイと顔を背けてしまった。それからはずっと、いつ別居しようか考えています」
部署は別だが、職場での立場はユリさんの方が上だ。それも夫は気に食わないのだろう。ユリさんが立場を鼻にかけたことはないが、夫は勝手に嫉妬しているようだ。
「小さい男だなと思いますよ、こういう言い方もよくないと分かっているけど、あえてそう言いたくなります」
年齢差にこだわらないふりをしながら、実際にはこだわる男もいる。目の前の一人の人間をきちんと見ることが何より重要なのだろう。
<参考>
・「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」(厚生労働省)







