亀山早苗の恋愛コラム

深夜0時過ぎにホテルへ呼び出され……再婚を願う66歳女性が70歳男性から受けた「衝撃の仕打ち」

60代を過ぎて、再婚相手を求めるようになったという女性は少なくない。66歳女性もその一人だ。彼女は紳士的な70歳男性と出会い、心を弾ませていた。だが夏のある夜、電話が急にかかってきて……。※画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

人間関係 ガイド

どうして男女は愛し合い、憎み合うのか。日々、取材を重ねつつ男女関係について記事や本に書きつづっている。近年は家族・友人・職場などの人間関係全般や、お金が絡む人間関係のトラブルについても執筆。『くまモン力-人を惹きつける愛と魅力の秘密』など著書多数。

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酒浸りで無気力な夫を支え続けたが……(画像:PIXTA)
酒浸りで無気力な夫を支え続けたが……(画像:PIXTA)

60代以上の一人暮らし女性が増えた。実際、内閣府の「令和8年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らし女性は昭和55年には11.2%だったが、令和2年には22.1%となった。令和32年には29.3%まで増えると見込まれている。

結婚を視野に入れていない人ももちろんいるだろうが、その一方で「これからでも再婚したい」と口にする人も少なくない。

勤務先の倒産で見えた「夫の弱さ」

「なるべく早く再婚したい。60歳を過ぎたころからそう思うようになりました」

ジュンコさん(66歳)はそう言う。30歳で最初の結婚をし、一人娘に恵まれたが、その娘が7歳の40歳のときに離婚した。理由は夫の勤務先が倒産、それによって見えてきた「夫の心の弱さ」だった。

ジュンコさんも仕事を続けていたから、なんとか生活はしていけたものの、徐々に家のローンが重くのしかかってきた。夫は失業保険をもらってはいたが、次を探そうという気力が湧いてこないようだった。

「もともとお酒に強いから、昼間から飲むようになり、次は朝から飲むようになって。彼のやり場のない気持ちも分かるけど、当時は入学前の子もいた。お金がないのはかまわないけど、家の中がずっと酒臭くて、夫はずっと暗い声でぼやいていて……。1年たっても状況が変わらないので、夫の両親に連絡し、病院に入院させました」

義両親の言葉がきっかけで離婚

ジュンコさんは一人で子育てと仕事を両立させ、夫を見舞ってエールを送り続けたが、夫は「もう社会に戻りたくない」と言うようになった。

「家庭にも戻りたくないの? あなたのかわいい娘が待ってるのにと言うと、さめざめと泣くんですが、時々病院を抜け出してお酒を飲み、アルコール禁忌の薬の影響で倒れるの繰り返しでしたね。いつかきっと前のような夫に戻ってくれると思っていたんですが、義両親に『あなたの存在がかえってプレッシャーになってるみたい』と言われて」

「分かりました、離婚しましょう」とジュンコさんはあっさり言ったそうだ。学生時代から友情を育み、誰より信頼して結婚したのに、自分の存在がプレッシャーになっているのがつらかった。

マッチングアプリを試してみたら

その後は必死で働いた。ローン半ばの家を手放し、賃貸マンションに住みながら借金を返済し続けた。55歳のとき早期退職制度により増額された退職金で借金返済。知人の厚意で別の会社に就職もできた。

「いくつか使える資格をとっておいたのが功を奏しました。そのころ娘も独立し、一人で節約しながら生活してきて、転職した会社も1年前に退職、その後は週に4日ほどアルバイトをしています。ですが、還暦を過ぎたあたりからですかね、体は確実に老いていることを実感して、なんだか急に寂しくなってしまって……」

娘は転勤族なので、一緒に暮らすことは考えていない。娘には娘の人生がある。自由に生きてほしいと思いながら育ててきたのだ。それを撤回はできない。

1年ほど前、友人がマッチングアプリで知り合った男性と結婚したと聞き、早速、登録してみた。わりとまじめそうな男性が多いという印象を得て、話が合いそうな人と会ってみた。何人かと会ううち、相手が何を求めているのか「読める」ようになってきたという。

「今年の春に会ったのが70歳の男性。個人事業主で今もバリバリ仕事をしていて、映画や読書が好きで話も合いました。とても紳士的だったので、少しずつ好きになっていったんですが、夏のある夜、急に電話がかかってきたんです」

彼は、ある繁華街のホテルにいるという。仕事関係のパーティーがそこであり、部屋をとったから今から来ないかということだった。酔っているようだった。

彼の本音の一言に深く傷つくことに

「私は翌日、仕事があったし、そもそももう0時を回っていたから、やんわりと断ったんです。すると『タクシー代くらい出すからさあ』と、いつもとは違う口調になった。それでもまた今度と言うと、『オレもあんたももう人生の残り時間がないんだよ。やるだけやらないと損だろ。分かってんの?』って。思わず電話を切りました」

そういう物言いをする人だとはまったく思っていなかったので、ジュンコさんのショックは大きかった。「残り時間がない」のは、ある意味では確かかもしれないが、それを盾にホテルに呼びつけるというのが下品だ。だんだん怒りが湧いてきたという。

「彼は次の日、いつものように『こんばんは』と電話をかけてきました。『昨日はごめんなさい。酔っていて覚えていないんだけど、あなたに電話をかけたみたいですね』と。覚えているのに忘れたふりをしていると感じました。『あなたとはもう会いません』と言ったら、しばらくいろいろ言っていましたが、とうとう『何気取ってんだよ。ただのババアのくせに』って。それが本音だったんですね。私は二度傷つけられました」

それ以来、ジュンコさんは沈んだ気持ちで過ごすことが増えた。60代後半、確かに「ババア」かもしれないが、「私の人生を知らない他人に、そんなふうに貶められるいわれはない」とも思っている。だが、もともとなかった自信は完全に失われた。

「マッチングアプリの場合、相手の背景やこれまでの人生もほとんど分からない。だから傷つけられることも傷つけることもあり得ると最初から織り込み済みでなければいけないんだとよく分かりました。私はあんな人に傷つけられるほどやわじゃないと思いつつ、やはり言葉は刃だなと感じています」

でもいつまでも沈んでいるわけにはいかない。もうそろそろ、立ち上がらなければとジュンコさんは自分を鼓舞するようにつぶやいた。

<参考>
・「令和8年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」(内閣府)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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