
「何かを断ち切りたい」と感じたときこそ、人生を変える最大のチャンスです。一方で、部屋のスペースを埋めていても「まだ捨てらない」と感じるものもあるでしょう。
環境整備コンサルタントの舛田光洋さんの著書『あなたの部屋は、あなた自身です。 「人生」と「空間」の相関法則』では、筆者が提唱する「そうじ力」をもとに、人生を整えていくメソッドを解説。
今回は本書から一部を抜粋し、「捨てる」ことによる過去と未来との向き合い方について解説します。
捨てることは、過去も未来も断ち切ること
僕たちは、人生の中で「ものを捨てたくなる時期」というものを、いく度か経験しているものです。では、どういう時期に、人は捨てたくなるものなのでしょうか。それは、これまで続いていた〝何か〟を断ち切りたいときではないでしょうか。
たとえば、失恋、人間関係の悩み、受験の失敗、事業の失敗、リストラ、離婚……など、大きく挫折したとき。また逆に一念発起して、資格を取ろうと勉強をはじめるときや、僕であれば、新刊を執筆するときや、これまでの自分と決別して新生したいと強く思ったとき。
こういった時期に、僕たちは人生を一旦リセットし、新生するために、捨てるという行為をしますよね。「捨てる」には仏教の禅宗の言葉「前後裁断」の考えが入っています。〝前後〟とは過去と未来のこと、〝裁断〟は切り離すことですね。「未来まで?」と、思われる人もいるかもしれませんが、禅では、過去に引っ張られる人も、未来を考えすぎる人も、いまを生きていないと捉えるのです。
それでも「捨てられない」あなたへ
人は、「これはゴミだ」と理性で割り切れるものなら、比較的すんなり捨てられます。しかし、そこに 感情が結びついているものは、たとえ他人から見れば明らかな不要物であっても、なかなか手放すことができません。それは、そのものの背後に、後悔・未練・虚栄・期待・かなわなかった願い―つまり執着が残っているからです。
ものそれ自体ではなく、心の中に残っている物語に、僕たちはしがみついてしまうのです。そんなときは、いますぐ無理やり捨てる必要はありません。
気持ちが追いついていないのに手放そうとすると、かえって心が拒絶反応を起こし、部屋だけでなく気分まで乱れてしまいます。
もちろん、無駄なもの、何かの役に立たないものでも、それを持っていることで、気持ちが前向きになる場合は、捨てなくていいものです。たとえば、アニメのフィギュアを集めることで、仕事ががんばれるというのであれば、もちろん捨てない方がいいのです。
思い出のものでも、子供が小さかったときの思い出のものは、あの頃のかわいさが蘇ってきて、癒しになるのなら捨てなくてもいいのです。自分のレベルを上げるきっかけとなるものは、捨てる必要はないのです。
ものには、また心にも、自然に〝手放せる時期〟が訪れる瞬間があります。そのサインがくるまでは、そっと置いておけばいいのです。季節の移り変わりと同じように、心にも流れがあります。
そして、いよいよ「もう大丈夫だ」と感じたら、かつて大切にしていた贈り物や思い出の品には、「ありがとう」と一言そっと声をかけ手放しましょう。
それは、ものを捨てる行為ではなく、心に残っていた執着から卒業する儀式のようなもの。手放すことで空いたスペースには、新たな感情や新しい出来事が、静かに流れ込んできます。
著者:舛田光洋(ますだ・みつひろ)
そうじ力研究家。環境整備コンサルタント。1969年、北海道むかわ町生まれ。清掃業を通し、「空間と人生の相関関係」や「環境整備による心の変化」に気づき、独自に研究後、人生哲学「そうじ力」を提唱する。「自己啓発としての掃除」に関する書籍の第一人者であり、著書には、累計50万部になった『夢をかなえる「そうじ力」』『「そうじ力」であなたが輝く!』(いずれも総合法令出版)からはじまり、ミリオンセラーになった『3日で運がよくなる「そうじ力」』(三笠書房)などがある。







