
人を誘ったはいいものの、約束の前日に、「自分と一緒にいても楽しくないんじゃないか」「会話が続かなかったらどうしよう」などと不安になっていませんか。
TVやメディアで活躍中の心理カウンセラー・五百田達成さんの著書、『「誘える人」がぜんぶ手に入れる』では、人間関係を豊かにする「人の誘い方」について分かりやすく解説しています。
今回は一部を抜粋し、相手も自分もプレッシャーを感じない「保険つき」の誘い方を解説します。
「自分」を差し出すのは相手への重荷
人を誘う時の「断られたくない」「迷惑かけたくない」「めんどくさい」という三大ハードルは、ちょっとした「考え方の転換」と、具体的な「技術」を使うことで、飛び越えることができます。
ここからは、重苦しい「誘い」を驚くほど軽やかにし、あなたも相手も傷つかずに人間関係を広げていける、誘うスキルの基本をお伝えしていきましょう。
まず、誘えない人は、なぜ「誘う」ことを重く、怖いものだと感じてしまうのでしょうか。それは、「自分自身」をメインの売り物(コンテンツ)にしてしまっているからです。
「今度、私とお茶しませんか?」「あなたともっと話したいです」
一見、ストレートで誠実な誘い方に見えるかもしれません。しかし、これは言い換えると、「さあ、私というコンテンツをお楽しみください」と、丸腰で、全体重をかけて自分を差し出している状態なのです。これは相手にとっても「1対1で、がっつりと時間を過ごさなくてはいけない」という、重いプレッシャーになります。
かといって軽薄に、ノリで、軽く誘いなさいという話をしたいわけではありません。もっと具体的なスキルをお伝えしたい。
人を誘うスキルの基本として、最初にお伝えしたいのが、「自分」を差し出す代わりに、相手がきっと楽しんでくれるであろう「担保」「メリット」「保険」を用意せよ、という鉄則です。
「自分」以外のメリット=保険を用意する
たとえば、まだ自信のない相手をデートに誘うとき、「僕とデートしてください!」と真正面からぶつかって玉砕したら、傷つきますよね。しかも、OKされる確率も低そう。
でも、「超有名バンドの、入手困難なコンサートチケットが手に入ったんだけど、一緒に行かない?」と言えば、OKの確率は跳ね上がります。大昔から多くの恋する若者たちが実践しているテクニックです。
これは、相手にとってメリットがあるだけでなく、「万が一、私というコンテンツが相手にハマらなかったとしても、なかなか行けないコンサートに行けるのはたいてい嬉しいだろう」という保険を用意できているので、誘う側としても精神的にラク。これが大きい。
「私、どうですか?」ではなく「こういういい話、どうですか?」と誘う。「私」を売り物にするのではなく、別のメリットを差し出す。これが、誘いを軽やかにする技術です。
「あなたが好きです。私を受け取ってください」という、どストレートなお誘いは、恋愛映画の中だけと割り切るべきでしょう。
誘う時におすすめな3大保険
この、相手がOKしやすい&断られても傷つきにくい「保険」「言い訳」には、大きく分けて3つの種類があるでしょう。
①「店」の保険:「私がつまらなくても、予約の取れない店に行けますよ」
「おいしいと評判の店」「予約の取れない店」「旬のものが食べられる店」といったメリットです。たとえば「なかなか予約の取れない人気の焼肉店が取れたんだけど、どう?」と誘ってみる。そうすると、相手には「予約の取れない店に行ける」「評判の店に行ける」というメリットが生まれるので、OKしやすい。
②「人」の保険:「私がつまらなくても、一緒に連れていく○○さんはおもしろいよ」
自分以外の魅力的な他者を連れていく方法です。たとえば、「今度ご飯に行こうよ。同僚の〇〇も連れて行くからさ」とチームで勝負するのです。これも相手にとってメリットですし、さらには「もし自分と話が弾まなくても、もう一人が相手を楽しませてくれるはず」という、心のお守りになります。
③「コンテンツ」の保険:「私がつまらなくても、スポーツ観戦は楽しいですよ」
趣味や推し活といった共通の体験を口実にする方法です。映画でも、スポーツでも、話題の展示会でも構いません。ボードゲームやテニスといったコミュニケーションが生まれがちなコンテンツであれば、間も持ちやすくなります。これもまた、最悪、自分という人間がおもしろくなくても、ゲームやスポーツのルールに従って遊んでいれば、その時間は確実に楽しく成立するという安心材料になります。
断られても「企画が合わなかった」と思える
このように、「店・人・コンテンツ」のいずれかの保険を用意しておくと、誘うという行為は驚くほど気が楽になります。「誘える人」のメンタルに一歩近づけました。
これは相手にとっても「あなた自身について、アリかナシか選ぶ」という重い決断から、「おいしいものを食べる」「おもしろい人と会う」「ゲームを楽しむ」という気軽な選択に変わります。
そして何より誘う側のあなた自身が、「もし断られても、私が嫌われたのではなくて、今回はその店や企画が合わなかっただけだ」と納得できる最強の逃げ道になるのです。
OKをもらえたら「自分が評価された」、NGだったら「企画が合わなかった」。そういうポジティブな考え方も、ときには必要です(笑)。「私」で勝負するのをやめて、「企画」で勝負する。
この視点の切り替えを持つだけで、誘うことへの恐怖はスーッと消えていくはずです。
著者:五百田達成(いおた たつなり)
心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、KADOKAWA、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。専門分野は「コミュニケーション心理」「ことばと伝え方」「SNSと人づきあい」。会社員としての実体験と豊富なカウンセリング実績に裏打ちされた、人間関係、コミュニケーションにまつわるアドバイスが好評。







