
共働きで子どもを育てていくのは時間的にも労力的にも経済的にも大変なこと。近くに両親がいれば、つい手助けを期待してしまうのは当然だろう。
義母に背中を押され
10歳と8歳の子を育てているマナさん(45歳)。なかなか子宝に恵まれず、結婚して5年たってようやく第一子を授かった。
「私は地方出身で近くに親戚もいないので、出産前に夫の実家近くに越しました。夫の両親もできる限りのことはすると言ってくれ、実際にいろいろ助けてもらってとても感謝していたんです」
一時は仕事を辞めることも考えたが、義母が「今辞めたら、きっと後悔する。私がそうだったから」と続けるよう背中を押してくれた。
「実は4年前、夫の勤務先が倒産したんです。私が仕事を辞めなくてよかったと本気で思いました」
夫は半年たってようやく再就職できたものの非正規で、収入はかなり減った。マナさんが家庭の主たる稼ぎ手となっている。
義両親が学童の費用を出すことに
「保育園時代は問題なかったんです。私か夫が送り迎えすることができたので。ただ、夫の今の仕事がシフト制、しかも私はコロナ禍はリモートワークが主だったけど、今は原則、毎日出社。いつの間にかけっこう責任の重い仕事をするようになって、残業も増えた」
そんな中で上の子が小学校に入学。学童保育に頼るしかなかったが、公立は満員で入ることができなかった。
「義両親が民間の学童に入れなさい、費用はもつからと言ってくれた。けっこう高いですからね、私は抵抗があったんですが、夫は『いいよ、甘えよう』と。見学に行ったら、遊びも学習もとても充実していたので、私も気持ちが傾きました」
その民間学童では、希望すれば夕飯も提供してくれる。マナさんは自分に残業が入ったときはそれを望んだが、義母は「そういうときはうちで用意するから」と言ってくれた。どんどん義母に取り込まれていく感じがしたのだが、なにより子どもにとっていい方法をと考えると、下の子と一緒に義両親の家で夕飯をとった方がいいだろうということになった。
下の子も学童へ
昨年から小学生になった下の子もまた、上の子と同じ民間学童へ通い始めた。第二子だから多少の割引はあるものの、学童の費用だけで「めまいがする」ほどだ。
「そこまでの費用を出す意味があるのかなと考えたんですが、義両親は『子どもたちにとって、いい環境を作るのは私たちの役目』と譲らない。夫は一人っ子だから義両親にとって他に孫はいないんです。でも義両親にとってもかなりの負担だと思う」
すでに70代の義両親だから、今後の老後の面倒を全て自分たちが見ることになるのではないかとマナさんは、あるとき不安になった。夫にそれとなく探ってもらったのだが、義両親に大きな財産があるわけではないことが分かった。
「たまたまチャンスがあって、最近、下の子が公立の学童に入れたんです。上の子は週に2回、近所の塾に通うことになったので民間学童は辞め、あとの日は留守番させようとしたら、『10歳の子に一人で留守番させるのはかわいそう。うちに寄越して』と言われたので、今はそうしています」
義両親も見栄を張っていたのかもしれない。民間学童に費用を払わなくなったので、かなりホッとしているらしいと夫が聞き出してきた。夫が副業も始めて収入も多少増えたので、マナさん夫婦は義両親に月に数万円、民間学童での借金返済という名目で支払っている。
新たな問題が
「でも子どもたちが義両親と過ごす時間が増えたせいか、甘やかしているのがよく分かるようになってきて……。今はそれが大問題です」
義両親は、子どもがほしいというものは、よほど高額でない限り、何でも買ってしまうのだ。しかも先回りして買うので、並んで買ったり自分でお小遣いをためて買ったりする喜びはない。我慢させるのも大事なことだと思うのだが、義両親は「高くて買えないものならともかく、私たちが並んで買っているんだからいいじゃないか」と言う。
「上の子がやりたがっていたゲーミングPCなんて、周辺機器含めて30万くらいするんですよ。それもいつの間にか整えていた。私たちには内緒だったんですよ。そういうことはきちんと言ってほしいと言ったけど全然聞いてくれない。これで孫ちゃんの才能が発揮できればいいじゃないって……」
望めば何でも手に入る、自分でやらなくても周りが全て整えてくれる。そういうふうに上の子が思うようになっている気配があり、マナさんは心配を募らせる。
「どうにかしてまっとうな子育てをしたいんですが、そもそもまっとうな子育てって何だろうと考えると、よけいわけが分からなくなってきて。私の仕事もますます多忙だし、夫も稼ぐのに手一杯。子どもたちは祖父母の与えてくれるものに満足しているようですが、こういう環境があとからどう悪影響を及ぼすかと考えると頭が痛いです」
義両親の老後問題も含め、今後を考えると不安しかないとマナさんは顔を曇らせた。







