
「高齢者の入居は、正直なところ断りたいのが本音です」――こんな声が、賃貸住宅の管理現場から聞こえてくるとしたら、どう感じるでしょうか。
管理会社の約半数が「断ったことがある」
不動産情報サービス・アットホームの調査によれば、賃貸住宅の管理会社632社のうち49.2%が、直近1年で高齢を理由に入居を断ったことが「ある」と回答しました。約2社に1社の割合です。
断る判断の8割超は「オーナーの意向」によるもの。管理会社というより、物件を所有するオーナーが高齢者の受け入れに二の足を踏んでいる実態が見えてきます。

最大の懸念は「孤独死」、その後の対応も重荷
管理会社が単身高齢者の入居でもっとも不安に感じているのは「孤独死」で、84.0%が課題として挙げています。次いで事故物件化(38.4%)、残置物の処理(37.0%)と、亡くなった後の対応に関わる問題が続きます。
日常的なヒヤリハットへの苦悩として、「火の不始末による火災やトラブルが不安なため、オール電化を案内するようにしています」「認知症など介護認定されるまでの間の対応について、どう線引きすればよいか分からない」といった声もあります。
すでに入居中の高齢者への対応も、管理会社にとっては悩みどころのようで、更新のタイミングで保証会社への加入を促したり、遺品整理や特殊清掃をカバーできる住宅保険を必須にしたりと、各社が独自の対策を講じています。また「入居者の親族が近隣にいるか、連絡が取れる状況か確認する」という声もありました。
「見守りサービス」は知っていても、導入は2割以下
孤独死リスクへの対策として注目される「見守りサービス」の存在を知っている管理会社は90.1%にのぼります。ところが、実際に導入している物件があると答えたのは19.5%にとどまりました。
導入に踏み切れない理由として、「オーナーへの費用負担の交渉が難しい」「町内会や自治会の見守りでまかなえている」といった声が聞かれます。さらには「高齢者の入居は負担が大きく、できれば避けたい」と本音を明かす管理会社も見られました。
高齢者が「住める場所」を探しづらくなっている背景には、こうした現場の実情があります。制度や保険の整備だけでなく、管理会社やオーナーの意識が変わるかどうかが、今後の鍵になりそうです。
<調査概要>
「管理会社調査(アットホーム調べ)」
調査方法:直接ヒアリング
実施期間:2026年2月2~20日
調査対象:アットホームに加盟している全国の賃貸住宅管理会社の経営者層
有効回答数:632社






