
お金に関する価値観は人それぞれ。恋人関係であれば、互いの価値観を知っておく必要もある。ただ、中には一般的には考えづらいような考えを持つ人もいるようだ。
浪費家の彼に苦労したから
以前、浪費家の彼と付き合って、どんなに好きでもお金で苦労するのは嫌だと思ったというエミさん(34歳)。
「20代のころ、結婚を前提に恋人と同棲していたことがあるんです。でも彼、かなりの浪費家でした。給料をすぐに使い切り、親に無心したり、私に貸してと言ったり。でもほれた弱みで、私は強いことが言えなかった。1年ほど同棲していましたが、ある日、酔って帰ってきて『外にタクシーを待たせてるからお金……』と言うんですよ。お金がなくて払えなかったらしい。あわてて外に出て私が払いました」
翌日、彼は何も覚えていないと言い張った。タクシーの領収書を見せると「ごめんごめん」とは言うものの反省しているようには見えなかった。
「結局、彼は浮気したあげく、そのまま帰ってこなくなりました。お金にだらしない男は、女にもだらしない。今思えば、彼と付き合って私にとってよかったことは何もないかもしれない。その経験を踏まえて、次は経済的観念のきちんとした誠実な人と付き合おうと決めたんです」
この人とならうまくやっていけるはず
エミさん自身、無駄遣いはせず、こつこつ貯金するタイプ。ただ、自分の好きなことには思い切って使う。2年に1度くらいは海外旅行をして見聞を広めてきた。
1年ほど前、マッチングアプリで出会ったのがユウタさんだ。彼も旅行が好きということで意気投合、会うようになってそれとなくお金の使い道などを聞いてみると、それなりに投資や貯金をしていることも分かった。
半年ほど付き合って結婚を意識しはじめた。もっと日常を知った方がいいと思い、旅行に誘った。互いに忙しいため、近場での1泊旅行だったが、それまでよりも彼のことが分かったという。
「デートも旅行も、基本的に割り勘でしたが、食事をごちそうしてくれることもあったし、一緒に歩いていて、私がふっと道端のお店の小物に見とれたとき『ほしい?』と言って買ってくれたこともある。そういう細かいところに気づいてくれるのがうれしかった」
この人とならうまくやっていけると彼女は感じた。だが結婚話を進めようとしたとき、彼が「じゃあ、とりあえず」と数枚の紙を渡してきた。
結婚はこれまでの“精算”をしてから
彼はなんと、デート費用を全て書き出した書類をプリントアウトしてきたのだ。
「そこには何月何日、何時から何時というデートの日時と、そのあとは非常に細かく支出が書かれていました。自分の交通費はもちろん、公園の自販機で買った飲み物や、彼が実家の車を借りてドライブしたときのガソリン代も。そしてその脇に、私がそのとき割り勘として渡したお金が書いてあり、完全に折半したときの私の支払い分も。例えば何かが1200円だったとして、ちょうど600円がなく、彼も『いいよ500円で』と言ったとする。そのことも書いてあるわけです。で、マイナス100円となっている。私が100円支払っていないということです。そういう仕組みの文書であることを、彼はとくとくと説明した」
そして結婚話を進めるなら、とりあえずここで「きみと僕の第一期が終わったということで精算したい」と。
その文書をよく見ると、「電話代相当分」という項目があった。これは何とエミさんが尋ねると、「これはきみが『電話して』と言ったときの電話代分。きみと付き合うようになってから電話代がかさんだので、かけ放題にプランを変えた。以前は電話はほとんど使わなかったから、その差額分。それと僕は電話が好きじゃないと言ったよね。電話によって僕の時間がとられているから、ちょっとだけ時給換算させてもらった。半分、仕事みたいなつもりで電話対応してたから」と言ってのけた。
結婚はもちろん取りやめに
「はあ? 私たち、恋愛関係じゃないのと聞いたら、そうだよ、付き合ってるんだよと彼は言う。ちょっとおかしくないかなと言うと、『割り勘にしたいと言ったのはきみの方だから、どうせならきちんと割り勘にしようと思って。アバウトより気持ちいいでしょ』って。なんだかめまいがしました」
彼の言い分として、これから結婚という“ステージ”に向かうのだから、ここでいったん恋人関係は終了。だから精算するというのだが、ここまで緻密に記録をとっていること自体がエミさんには信じられなかった。
「日記代わりだよ、たいしたことじゃないと彼は言うんですが、『缶コーヒー 120円 僕のおごり』と書いてある脇に、備考として『自販機ではなく、途中の量販店で買うべきだった』と書いてあるんですよ。割り勘にしてすっきりというより、なんてセコい男なんだと思ってしまいました」
結婚となると、生活費についてもこうやっていちいち記録され、締めつけられるのではないだろうかと恐怖すら感じたと彼女は言う。
結婚はもちろん取りやめた。彼は、「じゃあ、マイナス分3万8760円払ってね」としれっと言ったそうだ。彼女はきっちりそれを用意して封筒に入れて渡した。その場で確認した彼に、「封筒代、10円くれる?」と言ったら、彼はじっと彼女を見つめ、「封筒いらないから持って帰って」と言ったそうだ。笑い話にすらならないオチだったと彼女は苦々しい表情を浮かべた。







