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津田健次郎さんのTikTok提訴で注目集まる「声の権利」 無断利用が“違法”となり得る3つのケースとは?(3ページ目)

声優の津田健次郎さんが、生成AIによって無断で自身の声を模倣した動画が公開されているとして、TikTokの運営会社を訴えたことが話題になりました。昨今、声の無断利用を巡っては活発に議論が行われ、法務省も検討を始めています。そんな声の無断利用や声の権利について、知的財産権の専門家として解説します。※画像:PIXTA

藤枝 秀幸

藤枝 秀幸

弁理士 ガイド

弁理士

弁理士・行政書士。IT会社等でのプログラマ・SEとしてのシステム開発等を経て、2009年に当事務所(現:藤枝知財法務事務所)を開業。現在はIT分野やエンタメ分野のクライアント様を中心に契約書業務や知的財産業務を日々行わせて頂いております。

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声の無断利用が違法となると考えられる3パターン

法務省の検討会では、先述したピンク・レディー事件の裁判で示されたパブリシティ権についての考えを踏まえた上で、以下3つのいずれかを無断で行った場合に違法(パブリシティ権の侵害)となるという考えでおおむね一致しているように見受けられます。

1:声そのものを独立して鑑賞の対象となる商品などに使用する場合
例:有名人のボイスメッセージ、ボイススタンプ、芸能人のボイスアラーム、オーディオブックなど

2:商品などの差別化を図る目的で声を付す場合
例:目覚まし時計、GPSナビゲーション、電子辞書、スマートスピーカーなど

3:声を商品などの広告として使用する場合
例:テレビCM、店内アナウンス、商品サービス名を有名声優の声で読み上げるなど

例えば、人気声優の声をAIに無断学習させてその声優の合成音声を作成し、声優の許可なくインターネット上で配信して収益を得た場合は、1のパターンに当てはまります。

ゲーム開発会社が、声優の声をAIに無断学習させてその声優の合成音声を作成し、声優の許可なくゲームのキャラクターのボイスとして利用した場合は、2のパターンに当てはまります。

広告制作会社が俳優の声を無断でAIに学習させてその俳優の合成音声を作成し、俳優の許可なくCMナレーションに利用した場合は、3のパターンに当てはまります。

しかし、3パターンのどれかに該当するとしても、その声優や俳優の声が全国的に認知されているような場合や、その商品やサービスのユーザー層において高い認知度を有しているなどの事情がなければ、違法(パブリシティ権侵害)であると主張するのは難しいかもしれないとも検討会では述べられています。このあたりは今後、検討会で議論していく中でより具体的になっていくと思われます。

津田さんのケースはどうか

先日話題になった津田さんのケースは、先ほどの2のパターン「商品などの差別化を図る目的で声を付す場合」が当てはまると筆者は考えます。

そうした場合、あとはそのTikTok動画で流れている津田さんの声を模倣したナレーションというものがどこまで津田さんの声に似ているのか、そしてその声を聞いた人が津田さんの声だとパッと分かるか、といったところが問題になってくるでしょう。

おそらく裁判でもこの部分が一番争われるところで、この裁判の判断が、今後の声優などの“声の無断利用”についての考えを示す重要なものになるのではないかと考えます。

法務省の検討会でも、声が似ているということをどのように判定すべきか、どこまで似ていれば違法になるのか、といった点を議論していますが、非常に難しい問題で、現時点ではなかなか方向性が固まっていないように見受けられます。

今後も、法務省の検討会の進捗や、津田さんの裁判の動向から目が離せません。

>次ページ:緒方恵美さんら声優有志一同が法務省に求めた要望

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