生成AIによって生じている声の問題
有名声優らが訴えていた問題行為とは、次のようなものでした。
- 生成AIによって特定の声優の声で別アーティストの曲を歌わせる
- 生成AIによって特定の声優の声で文章や物語を朗読させる
- 生成AIによって特定の声優の声で、本人が述べたことのない発言や演技をさせる(政治的・性的なものもあり、心理的なダメージも大きいとのこと)
- 特定の声優の声を学習させたAIモデルをWebサイトなどで販売・公開する
こういった問題行為によって、TikTokやYouTubeなどの動画サイトに上記のような動画が多数アップロードされ、中には声優本人が歌っている、話していると視聴者が思い込んでしまうようなケースも出ているとのこと。
動画サイトで公開されている動画が、キャラクターの絵も同時に使われているようなものの場合は(アニメなどのキャラクターのビジュアルがあって、それが声を発しているような動画の場合)、アニメの制作会社などを通じて動画サイトに権利侵害の申し立てをして削除してもらっているのが実情だといいます。
しかし、キャラクターの絵を使わずに声のみの動画や音源が動画サイトにアップロードされているような場合は、アニメの制作会社が対処できないこともあり、その場合は、声優本人か所属事務所が対応に当たるしかないということですが、動画サイトに申し立てても無視されることもあるようです。
また、81プロデュースは、違法行為を止めるための法的な裏付けが必要(声の無断利用が権利侵害であることを明確にすることが必要)ということを主張していました。
声の権利は認められるのか
これまで声の権利を認めた法律や裁判例はありませんが、大学教授らによる学説では、「パブリシティ権」と呼ばれる裁判例で認められた権利に含まれるとする考えが多数派を占めています。
パブリシティ権とは、「人の氏名や肖像等がもつ顧客吸引力を利用する権利」のことで、顧客吸引力とは、商品やサービスがより売れるように顧客の注意を引き、関心をもたせるための魅力などのことを指します。有名なタレントやインフルエンサーが商品をCMやSNSなどで紹介すると、全く知らない人が紹介するよりも注意や関心が集まりますよね。
よって、顧客吸引力を利用する権利であるパブリシティ権は、有名人に発生しやすい権利であるといえます。そもそもこの権利が認められる発端となったのは、1970年代に活躍した女性ユニット「ピンク・レディー」のライブ写真などが週刊誌に無断で掲載され、その掲載によって損害を受けたとしてピンク・レディー側が週刊誌を訴えた事件です。
この事件よって、パブリシティ権が認められ、以降有名人の名前や顔写真などを無断で利用した場合の事件で度々出てくる権利となりました。

パブリシティ権における、「人の氏名や肖像等がもつ顧客吸引力」の「肖像等」に、声も含まれるとするのが大学教授らの学説で多数派です。法務省の検討会でも、「肖像等」に声も含まれるため声はパブリシティ権で守ることができるという見解が多数を占めています。
これらを踏まえると、声優などの声もパブリシティ権で守ることができるという流れになるように思えます。
では、声がパブリシティ権で守られるとして、どういった声の無断利用をした場合に違法となるのでしょうか。また、津田健次郎さんが裁判で訴えたケースではどうなるのでしょうか。







